昨今、たびたび目にする「管理職になりたくない若者の増加」
その理由には、収入に対する業務量が見合わない、上司と部下の板挟みになりたくない、ロールモデルになる管理職がいない、そもそも現場が好き・・・etc 理由は様々だ。
しかしこういった理由で管理職になりたくない若者は、今に始まったわけではない。
少なくとも私の知る限り、管理職につきまといがちな先に挙げたのような悩みは、昭和平成を過ごす中で、ずっと前からあったように思う。「中間管理職なんか上からと下からの板挟みだよ〜」とぼやいている様を幾度となく耳にしてきた。ではなぜいまになってことさら「管理職になりたくない若者の増加」問題がクローズアップされるのか。
わたしの個人的な見解としては、管理職をとりまく環境がかわってしまったせいだと推測する。
心理的資本を構成するHEROのひとつには、「レジリエンス」という要素があり、レジリエンスを開発するひとつの手法に「資産の棚卸し」というものがある。
これは自分の強みである「こと」や「物」を今一度整理してみることを意味する。資産と聞くと、つい自分がもつ「スキルや能力」を思い描いてしまうが、今回は見落としがちな「社会関係における資産」を通してこの「管理職になりたくない若者の増加」問題について考えてみようと思う。
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なぜ問題視されるのか
ことに現代において管理職になりたがらない若者の増加が指摘される背景には、上司と部下(そのまわりを取り囲むメンバーたち)の関係が希薄であることがひとつの要因になっているのではないかと思う。
例えば、「社会関係における自分の資産はなにか?」と考えたときに、自分の上司を想像するひとはどれくらいいるだろう?逆もしかりだ。部下を資産だと思っている上司はどれくらいいるだろうか。
おそらくお互いを資産だと思える関係ができていれば、部下から「あんな上司にはなりたくない」と言われることもなく、上司がロールモデルになる理想的な環境も実現しているだろう。
またコロナ禍を機に一気に加速した「飲みニケーションの喪失」も要因のひとつではないかと思う。
飲みニケーションが良いかどうかはさておき、こういった仕事以外でのコミュニケーションの機会が大きく減少したことで、目に見える業績でしかお互いを評価することができなくなったのではないだろうか。
また近年のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)利用率の大幅な増加により、まことしやかに囁かれる管理職のイメージや部下のイメージが潜在的にすりこまれてしまい、ネガテイブな印象が悪目立ちしてしまうことも要因のひとつであると考えられるだろう。そしてこれもまたコミュニケーション不足により、外部からの情報がすりこまれ、自らの環境さえおなじであると思ってしまい悲観的になる可能性も少なくない気がする。
コミュニケーション不足が起こす弊害
「昭和の時代はよかった」ではないが、
例を挙げるなら、キャリアに悩んだとき、昭和の時代は上司に相談できたのではないだろうか?(筆者は昭和の時代にサラリーマンをしていないのであくまで推測でしかないが……)
相談することで、「君の希望を通すのならあの部署のこんな仕事をしてみたらどうだ?」とか、「それなら⚪︎⚪︎部長に言っておいてやるよ」とか。上司という資産を活用して自分のやりたいことをかなえる道が当然のようにあったように思う。
そして上司も「あいつを育てて俺もそろそろその上の役職に……」など、部下を資産とみて、自分がやりたいことを叶える図式が自然誘発的なコミュニケーションを介して自然とできていたのではないか。
本来はこのように双方が資産であると認識する関係性が大切だろう。
しかし今の社会では、「上司が資産であることに気づいていない部下」、はたまた「資産だと気づいてはいるけど資産だと思えない上司」そして「部下を資産だとおもえるほど部下のことを理解していない上司」ばかりなのかもしれない。そして「自分が資産になれるとも思っていない上司」がとりまとめるチームが増加した結果、「管理職になりたくない若者の増加」問題を大きくしているのだろう。
まとめ
とはいえ、この時代にコミュニケーションを一気に加速させることは難しいだろう。必要以上の接触を好まない人が多いのも事実だ。
そこで提案するのが「1on1」だ。業務の進捗やキャリアについて自然と会話ができる貴重な機会だ。
時間がない、部下となにを話せばいいかわからない……etc 言い訳している場合ではない。部下を知ることが自分の未来しいては組織の成長にも大いに役立つのだ。
形式だけの「1on1」ではなく意味のある「1on1」にするために、チームとして組織としていま一度その目的について考え直してみてはどうだろうか。
私たちBe&Doでは、「心理的資本」を高める「1on1ガイディング」で、人と組織のイキイキの実現をサポートするサービスを提供しています。