クリエイティビティ(創造性)は、デザイナーやコピーライターや商品企画などに限った話ではありません。
業務を遂行するうえで、様々な工夫をすることで本質的な生産性を高めます。
仕事の目標を達成するためにも、自身のスキルアップやキャリアアップのためにも、ふりかえりを行うことは重要です。個人だけではなく、チームで共通認識をつくるために行うこともとても重要です。
さらなる改善を行い成果向上を目指すために、どのようにふりかえりを行っていますか?
個人なら一日の終わりに頭の中で思い浮かべるという人もいるでしょう。日記を書いてふりかえっている人もいるでしょう。業務なら会社から課される日報でふりかえっている方もいるでしょう。チームで、毎月、毎週のふりかえりのミーティングをもつこともあるでしょう。
うまくいったこと、うまくいかなかったことをふりかえり、次にどうするかを検討するというシンプルなこと。そのプロセスの中から新たなアイデアを思いついたり、業務フローに覚えた違和感に気づいたりすることもあるでしょう。そのこと自体が新たな改善策を検討するきっかけにもなります。
では、どのようにふりかえりを個人やチームで行うと良いでしょうか?
シンプルで社内で標準化しやすいフレームワークをご紹介します。
YWTふりかえり手法
YWTは、JMACが開発した概念で、一般的に知られているPDCAサイクルに対抗する概念として生まれたものだそうです。Y=やったこと、W=わかったこと、T=次にやること、というシンプルな考え方です。そこに必要に応じてM=メリットを加えて、YWTMとする手法もあります。
まずやってみる(Y)ことで、一定期間を経たところで分かったことをまとめ(W)ます。それをふまえて次にやることを検討する(T)のです。このマネジメントサイクルをできるだけ短いサイクルで回していくこと。
この方法は「試行錯誤」することが重要視されるので、そのようなクリエイティビティが求められる仕事(どのような仕事にでも、工夫をすることが求められると思います)に向いていると言えます。
次にやること(T)をチームや個人で納得がいっていない場合などにメリット(M)を明確にすることで、原動力を付加することも必要に応じて。これはそもそも何のために活動・仕事をしているのかが共有されていれば、無理にやる必要はないプロセスです。
自身やチームに合ったふりかえりを
また、KPT法というものも、一般的に活用しやすい方法です。
Keep(良いこと・続けること)、Problem(問題・課題)、Try(やってみること・挑戦してみること)で、問題解決を目指すふりかえり手法です。
では、一般的に知られるPDCAサイクルはどうでしょうか。
PDCAはP=目標を定めて計画を立てる、D=実行する、C=できたかどうか評価する、A=対策を行う、というものです。これはこれでシンプルなものですが、目標ありきでその実行状況を評価することから、利用する現場によっては向き不向きがあるものです。
よくあるのは、なかなか目標を立てることが難しいという場合です。ここに時間をかけてしまう。もちろん最適な目標を設定することができれば、自然と行動にも落とし込めるものですが、それが難しい。
PDCAの手法ももちろん目標を具体化できている場合には有効です。
また、上司部下との対話を通じて、関係の質を高め行動を変えていくといった方法にも有効です。その場合も目標計画(P)ありきではなく、スタートは現状のふりかえり(CDA)から入ると良さそうです。
作業ベースのものは目標も明確ですし、実行計画も立てやすい。しかしながら今後さらに、多くの作業は自動化されAI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入が進みます。人材不足の傾向から、この流れは止まらないでしょう。
そんな中では人材に求められる生産性の概念は、効率よりもクリエイティビティが重要になってきます。
マーケティング、企画、設計、デザイン、開発だけではなく営業、販売、接客、事務、生産現場にいたるまで、どのような工夫をすれば良いかという視点で常に「クリエイティビティ」が要求され、それが大きな生産性の原動力となってくることは間違いありません。
そういった意味で、YWM(T)や、KPTといった手法は行動することをベースにしている考え方なので、Pから始めるPDCAスタイルの目標管理や振り返りよりも、これからの時代に合っているかもしれません。
どのような仕事をしていても、個人で上記のように毎日ふりかえりをしてみるというのはいかがでしょうか。
また、マネジメントをしている人はチームマネジメントに定期的なふりかえりを取り入れてみるのも良いかもしれません。