初舞台。逆境は戦略的に乗り越える(漫才への挑戦 episode 4)

記事

~前置き~
HEROのフレームワークは”あらゆる”目標達成に対する
しなやかなで前向きなマインドを持って行動することに役立ちます。
本連載コラムでは、私の”漫才”への挑戦を、
HEROの解説を入れながら自己開示全開でお届けします。

■episode 1:「好きで始めたこと」が「やらねばならないこと」に変わってませんか?
■episode 2:無意識に目標のハードルを上げてませんか?
■episode 3:メンタルが揺らいだときは、解像度を高めるスキルを使う


2025年7月最初の土曜日、ついに私にとって初のお笑いの舞台に立つことができました。年始に、「今年は漫才に挑戦する」と決意して約半年。お笑い塾に通いはじめ、2年後くらいに舞台に立てればいいなとおぼろげに考えていた私。こんなにも早く挑戦することになるとは…。それも漫才じゃなく「コント」。しかもコンビじゃなく「トリオ」で(笑)。

結果から言うと、自分でいうのもなんですが、手ごたえ十分 でした!満足です。ひやひやしながら来ていただいた友人や両親からは「すごく面白かったし、会場もウケていた」と言葉をいただきました。ほっとしました。もう何度も当日の映像を見返しては余韻に浸っております。

振り返ると2ヶ月前。お笑い塾で先生から「出てみない?そんなに負担ないから」と打診されたときは、楽しみな気持ちと、自分にできるのか?という気持ちが半々でした。しかし、舞台が近づくにつれて、「これはやばい。納得できるレベルのコントに到底いきつかないぞ」という不安やプレッシャーが高まっていきました。先生、負担めっちゃあるじゃないですか…(涙)。
そんな中で、最終的に成功できた要因は何か?それは、手前味噌ですが私はPsyCap Master(心理的資本開発指導士)でございますので、この心理的資本(HERO)のフレームワークを(超)意識して、自分の中の羅針盤として行動の選択を取れたことが、自分の中では大きいです。その過程を今回のコラムで振り返ります。

ほぼ一からの準備スタート

今回、大まかなコントテーマのみ、先生から事前に頂いていました。

テーマは「アイドル(男性)に対し、雑誌特集で脱いでほしいと依頼する編集者(私)と、それを拒む敏腕マネージャー(女性)。間に挟まれあわあわするアイドル」。それ以上の具体的な構成や台本、身振り手振り、どこで笑いを取るかといった細かな指示は一切なく、それを「3人で決めていく」というところから準備を開始しました。

最初、メンバーでウェブミーティングをしました。「いきなり”縦”に議論を進めると発想が自由にならないので、まずは”横”でいい。イメージを広げよう」とメンバー同士で認識を持って、最初の1ヵ月目は広く自由に話し合いました。そんな風に日数が経過していきましたが、ただそこからもう一歩具体化したコントの構成案の具体化を進めることはできませんでした。私を含め、みんなコント台本を作り上げた経験はありません。「思った以上に苦戦しそうだな」という感じでした。

そして1ヵ月が経過。残り1ヶ月。もう内容を固めたいけど、目途はまだ立ってない状況。やばい。自分にできることは何か模索しました。そこで頼れるのが心理的資本の考え方です。この状況は、まさに心理的資本の構成要素HEROで考えれば、Resilience(乗り越える力)そのものです。これを意識して、作戦(行動)を実行しました。


作戦①:頼れる友人から学ぶ

Resilienceを発揮していくアプローチ法の一つに、「資産焦点型戦略」があります。漢字多めの言葉ですが、簡単に言えば「頼れるものは頼れ」「頼れるものがなければ作れ」みたいな考え方です。下記図で考え方が整理されています。

私がこの逆境で「何に頼るか?」というのは、この3ついずれか。

  • 知識やスキル(人的資本)
  • 人間関係(社会関係資本)
  • 内面の心持ち(心理的資本)

これらを「資産」と考えます。自分の資産はなんだと考えると、頼れる人がいました。昨年お笑いの養成所に入り、今は芸人1年目として頑張っている友人です。まずは彼のお笑いの舞台を観に行きました。「別に彼の舞台じゃなくてもお笑いは見られるじゃないか」と思われるかも知れませんが、私には一つ狙いがありました。

確かにプロの芸人さんのネタを配信動画で手軽に見ることはできます。しかし私たちが認知しているレベルの芸人さん達はトップレベルのプロ。私はむしろ動画を見て「これは自分には無理だ…」と感じ自信を無くしていました。そこで、あえてまだ芸人としての歴の浅い人達が出演する舞台のコントを観ることで、何かリアルに感じられることや、自分たちでも取り入れられるヒントが得られるのではないかと考えました。

さらに、後日改めてその友人に時間をもらい、コントの作り方やプロセスについて詳しく話を聞かせてもらいました。そこで、コントのストーリーにはある程度の「型」があること、さらに本番に向けての調整方法など具体的なアドバイスまでもらうことができました。
何より、1年前「お笑いを始める」と私に話してくれた彼が、1年経過してすごく経験値を積んでいて、自信を持っていたことは印象的でした。それを見聞きしているうちに、「自分にもできるかもしれない」という気持ちも少し芽生えました。

作戦②:自分の台本案を”たたかれ台”として出す

次のステップとして、自分のコント案の文章をつくり、メンバーに共有しました。そこで意識したのは、たたき台ならぬ、”たたかれ台”でいいということ。というのも、自分が面白いと思う展開を人に共有するって、結構勇気がいります。だから、たたかれる前提と割り切り、とにかく案を早く出して、私の案からインスピレーションを受けてくれたらそれでいいと。こう捉えて自分へのハードルを下げました。
結果として、どこまでインスピレーションがあったかはわからないけど、後日別のメンバーが新たなとても良い構成案を出してくれました。この案を中心に、より細かなセリフやボケを練り上げていくことになりました。

作戦③:「アドリブコント」から見つけた資産を活かす

月日は経過し、本番1週間前。一旦固めた台本をもとに、塾内で試しに披露する時間を設けてもらいました。しかし結果としては、「このままじゃまずい」という出来でした。セリフも入ってない(というか流れに違和感があって、気持ちを乗せて表現できない)し、なにより「間に挟まれあわあわするアイドル」の形になってない。自分たちもそう思ったし、先生やほかの塾生の反応もそうでした。
ただこの日は大きな希望も感じることができたんです。その理由は授業で行われた「アドリブコント」。ここで初めて私はコントを演じる体験をした訳なのですが、結構ウケたんです(自分で言うw)。コントで自分もちゃんと笑いをとれるという自信を得ることができました。コントを一緒にやる他のメンバーからも、「あかやん(赤澤のお笑いでのニックネーム)のコントはこんな感じ」という雰囲気をつかんでもらえたのも大きかったと思います。私も同様に、他メンバーの即興コントから、その人の強みや、不得意なことも含め感じ取ることができました。

だから試し披露したコントは上手くいかなかったものの、前進できた日だと思えました。頂いたフィードバックを意識しながら、みんなの良さを活かせられれば、「いける」と。
そして翌日の日曜日、メンバーの発案で、あえてアイドル役のメンバーを”参加させず”、2人でカフェにてミーティングを行いました。その理由は、「『間に挟まれあわあわするアイドル』である彼の、人間としての魅力や面白さを話し合い、認識を合わせる」ことを行いたかったからです。即興コントでの、アイドル役のメンバーのあわあわする様子の面白さを目にして、その魅力を最大限に引き出すことが鍵であると考え、そこを突き詰めようとしたのです。そして話し合った内容をもとにコント内容を再構築し、台本を完成させることができました。
なお、お気づきかもしれませんが、この話もまさに「資産焦点型戦略」ですよね。アドリブコントをきっかけに、私達自身の資産に気付くことができたんです。

作戦④:本番でパフォーマンスを発揮できるよう「心の準備」をする

いよいよ本番に向けて大詰め。
残すは平日の5日間のみ。私は、私自身が「本番が楽しみ」という心持ちで本番を迎えることがとても大事だと思っていました。というもの、雑誌特集のオファーを持ちかける役回りである私のセリフは結構多く、私がカチコチだとコントのクオリティは終わるのです(笑)。前向きな心持ちで臨むべく色々と自分の中で頭を整理しました。

ここでも、「資産焦点型戦略」です。前向きさ(つまり心理的資本)を発揮する上で、感謝の気持ちを持つ・認識することが重要な方法の一つなんです。私は感謝できることを改めて考えました。

今年の1月以降、私はお笑いへの挑戦を周囲の人やSNSや会社メルマガで積極的に”表明”してきました。その結果ありがたいことに、「頑張ってね」とお声を多くいただきました。また、今回のコントでは知り合いや会社の方、そして両親も観に来てくれていました。「知り合いが初めてコントを披露する」なんて、それを見るのはひやひやしますよね(笑)。それでも、応援の気持ちで観に来てくれる。あと塾の先生も、この機会をくれたことはもちろんのこと、その後も私達を気にかけてLINEを時々くれていました。そして何より一緒にコントに臨んでくれているメンバーはとてもありがたい存在です。そんな周囲の人のありがたさを改めて振り返り、ノートに書き出しました。
あとは、感謝の話のあとにいうのもなんですが、最悪失敗しても、今回の出演を任命したのは先生なんで(笑)。変に自分がプレッシャーを背負い込むのではなく、楽しむ気持ちを大事にしました。

逆境は戦略的に乗り越えられます!

そして迎えた本番。その様子は冒頭に書いた通りです。

今回、自分が逆境の中でも”戦略的に”できる行動に着目して前に進むことができたのは、心理的資本の「HERO(ヒーロー)」の考え方を羅針盤として持っていたからではないかと私は思います。このコラムを読んでくださった皆さんにも、恐れずにチャレンジする、背中を押してくれる強力な武器として、心理的資本に関心を持って頂けたなら嬉しく思います。

ちなみに舞台終わりに先生から「次はコント漫才(コント入っていくパターンの漫才)やってみては?」と声をかけてくれました。まだまだコラムネタは豊富に出てきそうです(笑)。続きもぜひご期待ください。最後までお読みいただきありがとうございました!

赤澤智貴

赤澤智貴

株式会社Be&Doの事業開発ディレクター。大阪府柏原市出身。学生時代、野球部のキャプテンを務める中でチームマネジメントの難しさを実感。自身がイップス(精神的な要因で思い通りにボールを投げられなくなる症状)に苦しんだ経験から、「人を怒りでコントロールするのではなく、前向きな気持ちやモチベーションを引き出すリーダーシップ」が重要だと気づく。新卒で採用支援会社にて企画営業を経験した後、2019年に株式会社Be&Doに参画。事業開発全般に携わり、PsyCap Master認定講座の運営責任者も務め、個人・組織の心理的資本の向上を追及している。また、個人の活動としてアンガーマネジメントの普及活動にも取り組み、企業研修の実施や、関西支部の副支部長としてコミュニティ運営にも携わる。

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