ゴールデンウィークが終わり、会社勤めに少し慣れ始めたころに、昔から言われる五月病が頭をもたげ始めます。
希望に満ちて入社して、最初はワクワクした気持ちだったのが、少しずつ現実が見えてきたことから、戸惑いや不安を感じるようになってきます。
これは新入社員に限らず、転職した人も同じです。
私は、かつて人材紹介をしていました。
その時の話ですが、転職先に勤め始めた頃は希望に満ちていたのですが、転職後3か月目ぐらいから、戸惑いや不安から前職と比較して愚痴をいう人がそこそこいたことを思い出します。環境変化に対する心理状態とは概ねそのようなものなのかも知れません。
ホワイト職場離職の現状
最近、特に話題になっているのは、ホワイト職場なのに離職する人たちがいるということです。ホワイトすぎる職場は「ゆるブラック」とも揶揄され、刺激のなさや成長できないのではないかという不安から離職するというのです。
会社側としたら、こんなに福利厚生も整えて、残業もなく、在宅勤務なども柔軟にできる環境を整えているのに、なんで?という思いでしょう。
一方でそんな緩い環境では、「刺激がない」「成長させてもらえそうにない」という人がいます。もっとも極度のハラスメント疑惑を恐れて、上司が指導しづらいからということも背景にあるのでしょう。でも刺激も成長も他責的なものではなく、自分主体でどうしたいかが軸にないと、仮に転職したとしても同じようなことに悩むことになりかねません。
ネガティブな感情は何かを改善するきっかけでもあるのですから、この機会に仕事との向き合い方を考えてみましょう。そんな時は心理的資本のHEROモデルで思考を整理するとわかりやすいです。
ネガティブな感情を改善のきっかけにする
この環境では成長できそうにない、というモヤモヤが生じたら以下の問いを自分に問うてみてください。この問いは心理的資本のHope(意思と経路の力)の開発手法です。
キャリアパスの不明瞭さや成長機会の不足を感じるという人には以下の2つのパターンがあります。あなたはどちらでしょうか。
A)あなたが思い描く将来像(Will)が明確で、それに向かう方向性や速度が違うと感じている
B)将来像(Will)はイメージはないものの、現状の刺激のなさからこれでいいのか、と不安を感じている
A)の人の場合、以下の3つの点で考えてみてください
①将来像(Will)に対して、具体的なステップ(Way)は描けていますか?
➁Wayは理想や想像ではなく、具体的で挑戦的で測定可能で尚且つ達成可能なものになっていますか?
③Willの実現までの道のりは他責的になっていませんか?
ここでのポイントは、「●●をやってくれない思考」になっていないか、です。
自分から働きかけて、「●●のために動いてもらうために、どう働きかけるといいか」を考えて行動目標を設定しましょう。Willはあっても、Wayが曖昧では、Willは絵にかいた餅でしかありません。
B)の人の場合、以下の点で考えてみましょう
①漠然とした将来不安には、自分が何に貢献したいと考えているか、またはどんな時が充実しているかを考えましょう。
➁充実を得るために、どんなことやればいいのか、仮置きのWillを設定しましょう。
③そのWillを目指して、達成可能な行動目標(Way)を設定しましょう。
④そして行動あるのみ!行動して振り返りながら進めていくことで何かが見えてくるはず
ポイントは不安に陥っているときは案外、行動できていないということです。また隣の芝生が青く見えてしまいます。そんな時はスモールステップの目標をたてて行動することで、俯瞰的に物事が見えてきます。焦らず、じっくり歩みながら、ふりかえりからの気づきを大切にしていきましょう。
他者からの問いかけと相談
自分自身に問いを立てることはとても大事です。でも他の人から問いをしてもらうともっと気づきがあるものです。
身近な人に相談すると新しい知見が得られるかも。
もやもやしたら、自分の状態を客観的に捉える心の余裕を持ちましょう。