心理的資本って知っていますか?人のパフォーマンスや幸福に不可欠な理由とは。

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「心理的資本(しんりてきしほん)」という言葉について、ご存知でしょうか。聞いたことがないという人も多いと思います。心理資本や、心の資本と表現されることもありますね。英語では「Psychological Capital(サイコロジカルキャピタル)」です。略して「PsyCap(サイキャップ)」と表現されることもあります。なんだか難しいですね。

心理的資本という概念の背景を少し知ってみることで、なぜ人や組織が成果をあげるために必要不可欠なものなのか、理解が進むのではないか。そんな想いでコラムにしました。

心理的資本の学問的背景をさくっと

心理学という学問の領域では、文字通り「人の心」を知り理解するために研究がされ続けてきています。
なんで人は落ち込むのだろう。なんで人はポジティブになるのだろう。人はなぜ恋をするのだろう。人はなぜ孤独を感じるのだろう。人はなぜ恐怖を感じるのだろう。人はなぜ…。考えだしたらキリがないくらい、様々な人の心に対する問いが思い浮かびます。

でも、心理的資本というのは心理学の研究や論文をもとにしていますが、概念としては「経営学」としてまとめられた考え方なんですね。個人的にはここが面白いと感じているところです。経営学というからには、なぜ人が行動をするのか。なぜ人が成果を生むパフォーマンスを発揮するのか。なぜ人は成長しようとするのか。なぜ人は創造性を発揮できるのか。なぜ事業を興し推進することができるのか。どうやったら成果が高まる組織がつくられるのか。そんな観点から研究が続けられてきているわけです。

経営学といっても学問の範囲は幅広いですが、実は人の問題が経営においては大半と言えるかもしれません。
どうやったら事業が前に進むのだろうか。業績が高まるのだろうか。新しい事業をつくれるのだろうか。自律的に成果を目指す組織づくりができるのだろうか。常にそんなことを考えているようにも思います。その根幹には必ず「人」の問題がつきまといます。「経営は人だ」という言葉があるくらいですもんね。

何を知っているか。人の知識やスキルなどの資本との関係は?

経営学の長年の研究の中で、最初に注目された人が持つ資本は「人的資本(Human Capital)」だと言われています。言葉はともかく、要はその人が「知識、スキル、能力、ノウハウ、経験」のようなものをどれだけ持っているかによってパフォーマンスが違ってくるだろうという考え方です。つまり「何を知っているか」が重要だと。ごもっともです。
極端に言えば、ある仕事を進める時にその仕事に関して何の知識もなければ、何をすれば良いかすらわかりません。
その人が仕事で経験を積んで、成果を上げるためのノウハウも身につけ、必要に応じてスキルを磨けば、パフォーマンスが良くなっていくことは明白でしょう。

でも、どうでしょうか。その仕事に前向きに取り組みたい、その職場で成長したい、顧客に貢献したいという前向きな心の状態が無ければ、どうなるでしょうか。または、せっかく知識やスキルを持っていても、心がすこぶるネガティブな状態だったら、どんなパフォーマンスを発揮するでしょうか。

成長しない、パフォーマンスを発揮しない、むしろ悪い方にすら進む可能性だってありませんか?
持っている知識を悪用するなんてことをしたら、会社ならコンプライアンス問題、人としても信用問題ですよね。

誰を知っているか?人のつながりの資本との関係は?

次に注目された人の持つ資本は「社会関係資本(Social Capital)」です。これも言葉はともかく、要は「人のつながり」をどれくらい持っていますか?ということです。誰を知っているか?誰とコミュニケーションをとれるか?そんなイメージです。仕事はひとりで完結するものは珍しいですし、他の誰かと関わりながらするものです。そう考えれば、これもパフォーマンスに影響すると考えるのはごもっともです。頼る人、助けてくれる人、一緒に仕事をする仲間がいるかどうかで結果は変わってきそうです。

でもやっぱり。どれだけ良い人脈を持っていても、前向きに成果をあげようと思う心の状態が無ければ、その人脈を活かそうともしないのではないでしょうか。仕事をうまく進めるために、ある人物とつながる必要があっても、行動を起こさない、なんてこともあるでしょう。

心理的資本の正体、そして不可欠な理由とは?

結局のところ、前向きに行動を起こそう!と思う原動力となる”心の状態”になっていなければ、パフォーマンスは発揮されないということなんです。本人にとっても、周囲にとっても、幸せな結果が生まれづらいということなんです。

分かりやすい言葉で言えば「やる気」なのでしょうか。「モチベーション」なのでしょうか。ひとつはっきり言えることは、一過性の上がり下がりするようなものでは無いということです。心理的資本というものがしっかりとある人は、やる気であろうがモチベーションであろうがなんであれ、コントロールすることが一定以上できる人です。

心の状態を前向きにコントロールできるチカラであり、原動力そのもの。まさしくエンジン。
エンジンが生み出すエネルギーが、モチベーションなのかもしれないですし、行動そのものとも言えるかもしれません。熱意のようなものかもしれません。活力そのものです。

コントロールできるチカラだと考えれば、それは能力のように開発できるものだと考えられました。だから経営学で扱われたんですね。状態を測定できて、開発できるという理由からです。

パフォーマンスを発揮するにも、成長するにも必要不可欠な原動力。
そして実は幸福感を感じられるためにも重要な役割を果たすエネルギー源。
それが「心理的資本」なんですよね。

ではその開発する方法は???
その方法論を実践と検証を経て体系化していっているのが「ガイディング」という方法です。
ガイディングについては、また別途コラムにしたいと思います!

気になる方はガイディングを学べる「PsyCap Master®認定講座」の受講をご検討くださいね!

参考文献:
『こころの資本~心理的資本とその展開』(フレッド・ルーサンス 他著、開本浩矢著/中央経済社)
『心理的資本をマネジメントに活かす:人と組織の成長を加速する「HERO」を手に入れる』(開本浩矢、橋本豊輝著/中央経済社)

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に『心理的資本をマネジメントに活かす』(共著)中央経済社,2023年がある。

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