ハーバードビジネスレビュー英語版に「The Strategic Power of Hope(希望の戦略的パワー)」という記事が掲載されていたということで、PsyCap Masterコミュニティでメンバーから紹介がありました。せっかくですので、内容を要約しつつ、私なりの視点でコメントも加えて考えてみたいと思います。
あくまで要約ですので、原文の意図と違う点があるかもしれませんが、ご容赦ください!
Contents
組織のリーダーにありがちな「悲観主義」
うまくいかないことに焦点をあてる必要があると感じられることが多い。
このような守り重視の姿勢は、問題点やリスクに気づくという点では役立つこともある。
しかしながら、悲観主義に偏ってしまうと、視野が狭くなり、創造性を低下させてしまい、ポジティブなチャンスに気づきづらくなるという恐れがある。
物事を悲観的に見ることや、ネガティブであることが否定されているわけではないということは大前提ですよね。あえて批判的に物事を見ることで、問題点を明らかにする姿勢は、厳しい判断も求められるリーダーとしては当然ながら必要とされる場面が多いでしょう。
だから、それができるリーダーは良くも悪くも賢く見える!知的に見える!なんかかっこよく感じる!そして勘違いしてしまう!そんなことへの警鐘とも言えるかもしれませんね。
バランスって大切。物事の良い側面や、うまくいっているところにしっかり気づける視点や思考があってこそ活きるものなんだろうと思いますね。
「希望」がリーダーの自滅を防ぐカギとなる!
「希望」とは?
- 楽観主義よりも積極的なもの
楽観主義者は明るい未来を信じるが、希望に満ちた人は、物事がうまくいくと信じると同時に、不確実性の高い状況においては行動が重要だと理解している。 - 職場での好循環を刺激するもの
希望に満ちた人は熱意をもって働くことができる。また広い視野を持ち思考することができる。また仲間の間でのポジティブな関係性を促し、良いコミュニケーションの循環を生む。 - 学習可能なスキル
希望を持つことは、本来は誰にとっても実践を通じて学ぶことができるスキルと位置付けられる。
「希望(Hope)」は、心理的資本の要素のひとつです。直訳すると誤解を招くので、私たちは「意志と経路の力」と表現しています。Hopeをしっかりと持てている人は、単に将来に対する”希望的観測”をしているのではなく、何をどうしたいのか(または自分がどうありたいのかも含め)意志をしっかりと持つことができていますし、それを実現するためのアクションプランを具体的にいくつも想定することができます。行動を起こし、目標達成まで行動を継続できるイメージを持てています。
だから、1つのやり方に固執することもありませんし、視野を広く持つことができます。そして心理的資本は後天的に身につけられるスキルに近いものだとされているので、まさしく述べられているのは心理的資本のHopeの話ですね!
リーダーとして「希望」を戦略として活用する方法
記事内では、希望という力を組織のパフォーマンスを高めるための戦略として活用する方法が紹介されていました。
どれも、組織のひとりひとりの「ワーク・エンゲージメント(働きがい)」を高め、熱意・活力を増幅させるポイントですね。
人々は、仲間とつながり、他者を助ける仕事をすることに深く関心を持っているが、周囲の人々も同じように感じ、同じことを望んでいることに気づいていないことが多い。 リーダーは、人々に共通点があることを思い出させることで、これを活用することができる。
2.人々に力を与える方法を見つける(エンパワーメント!)
特に大企業では、「希望」の感覚は希薄になりがちである。なぜなら、従業員はしばしば自分ではコントロールできない力に巻き込まれていると感じているからである。 リーダーは、重要なタスクを委譲したり、管理の綱を緩めたりすることで、従業員に対して部分的に権限移譲をするなど工夫してエンパワーメント。
3.進捗に対するポジティブフィードバック
うまくいかないことに注目し続けることでネガティブな絶望感は生まれてしまう。しかも雪だるま式に増大する可能性がある。 最悪の事態を予想すると、お互いを疑い、組織内に暗い影を落とす。 リーダーは、人々の小さな成果に注目し、それを賞賛することで、ひとりひとりのこれからの前向きな行動を促すことができる。
ポジティブな思考や態度も、ネガティブな思考や態度も組織内には伝播します。特にネガティブは伝播しやすい!だからこそ、影響力の大きい人のリーダーシップの在り方は重要になるでしょう。
まず組織である限りは、何らかメンバーで握ることができる共通の目的・目標はあるはずです。ひとりひとり思い描いているやり方や、進め方が違ったとしてもです。メンバーのWill(意志)は、直接的・間接的など違いはあれど、組織としてのWillにつながってくるものだと私は思います。
また、記事内でもあるように、ともすれば従業員は仕事は言われたことをやるものだという認識になってしまいがち。これは本人たちが悪いのではなく、そういう”システム”で組織がこれまでまわってきたことがつくりあげている状況だと思います。もちろん会社のミッションとして「やらなければならない」ことは多々ありますが、その中で工夫の余地や、選択の余地をつくることはできるはずなんですよね。その小さな積み重ねが、仕事の面白さにつながってくるはずなのですけれど。
あとは前半でもありましたが、ポジティブな面をしっかり見出し伝えること。基本ですが、目的地に向かう過程でうまくいっている点に注目することを意識的にやってほしい!と思います。続けることで、きっと思考習慣となり、スキルとして身に着くはずですから!
まとめ(結論)
悲観主義や、不安・恐れには何らかの理由がある。こういった心の状態は、最悪の事態を防ぐための重要な役割を果たしていると考える。だからこういったネガティブな視点や感情が生まれたら、リスクに気づいてくれていると考えて感謝するくらいで良い。
しかしながら、こういった感情を”知性”のようなものと混同してしまい、それが組織の文化として根付いてしまうようなことがあれば、とても多くの数えきれないほどのチャンスを失ってしまうかもしれない。
嵐のような状態は誰にでも(どんな組織にも)訪れる可能性があるが、そんな時でも「希望」をベースとして戦略を立てられるのは、本人自身が希望に満ちたリーダーだけである。(つまり希望が無いリーダーには無理!)
「希望」は単に明るい未来を想像するのではなく、それを築くのを助けてくれる。
やっぱり心理的資本の要素のひとつ=意志と経路の力(Hope)は、どんな状況でも希望を見出し前に進む推進力につなげることができるスキルと言える!と今回の記事を読みながら再認識をしました。
原文は下記をご覧ください。
Negativity attracts attention and is often equated with intelligence, so it’s no surprise that leaders often feel they need to focus on what might go wrong. That kind of defensive posture can be helpful, in that it allows leaders and organizations to detect problems and threats, but it can also narrow your focus, and in so doing reduce your creativity and make it hard for you to recognize opportunities. Hope, research in behavioral psychology suggests, provides a bulwark against this self-defeating behavior — and if leveraged appropriately, it can be a powerful force in helping organizations thrive.
コメント