創造性はトレーニングで高められる?変化の時代に求められるのは「知識」よりも「心の力」

記事

「変化が大きい時代だからこそ、創造性を発揮せよ!イノベーションだ!クリエイティビティこそ重要だ!」そんな言葉を聞くことが、やはり近年とても増えたように思います。本ブログでは、創造力を高めるためのトレーニングとして意識したい点を紹介したいと思います。

なお、創造性発揮の心理的メカニズムと心理的資本に関する研究の報告書を参考にしております。

大前提として創造性(クリエイティビティ)の意味するところ

創造性を高めなさい

そんなこと言われても困る。そう感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
もちろん得意不得意ということも考慮した方が良いかもしれません。
しっかり安定的に着実に仕事を進められる人は確実に社会にとっても会社にとっても必要な人材に違いありません。しかしながら、そういった優秀な方はアイデアを出せ、クリエイティブであれ、と言われると「え、ちょっと待ってくれよ、困る」となるケースが多いかもしれません。得意不得意はあるものなんです。

とはいえです。いわゆる「ルーティン業務」をはじめ繰り返す仕事や、マニュアル通りにミスなくやる必要がある仕事にであっても「より効率的に進めるためには?」「ミスを防ぐためにできることは?」など、日常の中に隠れている改善の種に気づくことや、そこで工夫をこらして具体的な改善することも十分に「創造性発揮」だと個人的には思うのですけれど。そこは、評価する人が、その人のタイプや従事している業務や役割に応じて、しっかりとポジティブに見てほしいところです。

それに無(ゼロ)から何かを生み出すことではなく、何かと何かを組み合わせたり、現状を進化させることなども全てクリエイティブでしょう。

話が若干それてしまいましたが、アイデアやプラン、クリエイティブを生み出すような分かりやすい「創造性発揮」だけではなく、小さな改善であっても広義の「創造性」だとご認識していただけると嬉しいです。

創造性発揮を促すための4つのトレーニング視点

さて、本題です。創造性はトレーニングで高められるのか?
カギとなるのは「心理的資本」の4つの要素(HERO)に注目することです。

Hope(意志と経路の力)のトレーニング

新しいことを生み出すことや、現状を変えていくということが求められます。
大なり小なり「何を成し遂げたいか」を言語化して具体化することを意識してみましょう。
同時に大切なのは目標達成までの道筋を見つける能力です。目標までの道のりを小さく分けてみたり、ルートを変えて見たり、シミュレーションをしてみることを意識してみましょう。

何かを創造し生み出す時には、やはり困難が伴うことも多いです。あきらめたくなることもあります。そんな時に、何のためにやるんだったか目的を思い出せるように言語化しておくことで、意欲をキープすることにもつながります。また、シミュレーションをして複数の道を見出しておくことで、諦めずに進みやすくなります。

Efficacy(自信と信頼の力)のトレーニング

何かを創造するためのプロセスは、不確実なことが多いものです。結果もうまく出ない可能性もある中で、失敗を恐れずに行動を起こすことが求められます。自分にならできるという自信を持つことが、粘り強く創造していくためにも重要になるでしょう。

自信をつけるには成功体験を積む必要があるのでは?と誤解される方も多いですが、失敗も含めて良いのです。
何よりも行動を起こしてみることで、うまくいったりいかなかったりするわけで、その結果を丁寧にふりかえり、経験値として糧にしつつ、次の行動につなげれば良いのです。これはいわゆる「試行錯誤」そのものです。

トライアンドエラーを適切に行っていく、ということとも言えそうです。
とはいえ自信がなければ、その一歩を踏み出すことすらアヤシイ。だから、失敗しても大丈夫な範囲で、小さく行動を起こすということをトレーニングとしてやってみましょう。できる範囲からのステップバイステップで良いのです。

Resilience(乗り越える力)のトレーニング

何かを創造したり、現状を改善していくプロセスでは、これまでも触れた通り失敗はつきものです。場合によっては周囲からの批判を受けることも多々あります。だからこそ立ち直り乗り越える力=Resilience(レジリエンス)を持っておくことが重要なのです。

レジリエンスを高めるためには、現状のリスクの要因は何なのか、現実的に適切に認識できる力をつけていきます。加えて、そのリスク要因を解決するためにどのような資源や資産が必要かを見出すことができる力も重要です。
適切に自分の持つ強みとなるリソースは何か、リスク要因に適用できる資産が無いか認識すること。また、必要ならそれらをつくるためにどんな行動を起こせば良いかを考えられるように、自己分析をしてみましょう。

あらゆるリソースを駆使しながら、現状の問題を乗り越えて、さらなる成果を生み出すために動くことができる力こそレジリエンスと言えます。何のための創造性の発揮かと言われれば、ビジネスシーンにおいては、現状の問題を乗り越え成長したり成果を高めるために違いありません。

Opitimism(柔軟な楽観力)のトレーニング

物事を肯定的に捉え、建設的に考えることができることから、「きっとうまくいく」と前向きな期待をできる力です。まさしく良い意味で楽観する力です。創造性を発揮する時、「きっとうまくいかない」と考えていては、良い考えが出てくることはありえないと思いませんか?

楽観力を高めるためには、過去・現在をポジティブに捉えるトレーニングをやってみましょう。
現実的かつ客観的に物事を整理して捉えることで、自分たちにコントロールできることに焦点をあてることができるようになります。
また、その日をふりかえりつつ、現状の置かれている状況や周囲の環境も含め、感謝できることや良かったことを書き出してみることです。

これらを思考訓練と考え、日々繰り返しやってみましょう。少しずつ、将来に良い期待を持てる楽観力が身に着いてくるはずです。

まとめ

AIの進歩によって知識を持つことがアドバンテージになりづらくなりました。もちろん、全く知識が無ければ、そもそもAIを使いこなすこともできないので、知識はこれからも重要な要素になることは間違いないでしょう。

何かのクリエイティブをつくるにしても、AIを活用するかどうかも含めて、どんな資源(リソース)をあたると良いか。使えるツールは無いか。頼れる仲間はいるか。

けれども、これからもずっと人が心の面でウェルビーイング(幸福)であるためには、創造性を発揮できているかどうか、発揮できる力があるかどうかはとても大切な要件になってくるのではないかと考えます。

自分で考え、自分で人生や日々の仕事もセルフコントロールできている感覚。それは、創造性の発揮ともつながっているように私は思います。そこでカギとなってくるのが心理的資本、それを構成する4つの要素(HERO)です。

ぜひHEROを開発するトレーニング方法や思考方法を身につけていただきたいです!

以下の記事も参考まで

新たな価値の創造にはレジリエンスが最重要か~創造性発揮の心理的メカニズムと心理的資本に関する研究より

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に『心理的資本をマネジメントに活かす』(共著)中央経済社,2023年がある。

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