社員が成長したと感じるのはどんなところから?

記事

先日、X(旧:twitter)である人が、「社員が成長したと感じるのはどんなところからそう感じますか?」という問いかけをしていました。

そこで、私の場合はどうなんだろうと考えてみました。

成長したと感じる6つのポイント

私は社員の思考や行動に「任せられる」という安心感が得られたとき、成長した、と感じるように思います。
では、なにを持って「任せられる」と感じているのでしょう。

私の場合は・・・

  1. 経営の方針やビジョンを理解したうえでの積極的な発言や行動がみられるようになる
    ー決して、上司の方針やビジョンを鵜呑みにしているのではなく、それらを理解し自分事として捉えて、そのうえで考えているなと感じられると安心します。
  2. 率先垂範で仕事を進める、引き受ける
    ー指示を待っているのではなく、積極的に仕事を拾っていくようになった時。「それ、やります」「おまかせください」という言葉に、成長を感じます。
  3. 感情のコントロールができる
    -自分と考えが違ったり、意に沿わないことがあっても、直情的にならずにコントロールできるようになった時に、成長を感じます。
  4. 時には周囲の人に対して厳しい指摘や指導ができ、それでも信頼が揺るがない関係ができている
    ー厳しい指摘や指導をしても揺るがない信頼を得るためには日頃から信頼できる関係を作れているということでもあります。
  5. 自分の知識や経験を謙虚に受け止め、積極的に学ぼうとする姿勢がある
    -この学びとは、知識学習だけでなく、他者からの学びや日常の気づきなども含みます
  6. 建設的な意見や提案が積極的にできる
    ー課題の指摘ばかりではなく、どう改善していくのか、チームメンバーに前向きな行動を促す気づきを与える存在になっていると成長したと感じます。

・・・もっとあるかも知れませんが、この6つの思考行動言動が見られると成長したな、と感じます。

この6つは仕事のスキルだけでなく、その人の内面の充実にあるように感じています。

まさしく、成長は心理的資本で説明できるかもしれませんね。

人的資本経営のパワーとなる心理的資本

心理的資本とは、「自律的な目標に向かって行動する心のエンジン」というべき経営学の概念です。

今、人的資本経営と言われ、人は資源(使ったら減るもの)ではなく、資本(投資するとリターンが得られるもの)として捉え、人に投資することで企業組織の競争力を高めることに注目が集まっています。

業績・成長に影響する人の資本とは●人的資本=知識・スキル・経験のこと
●社会関係資本=社内外の人のつながりのこと
●心理的資本=前向きな行動の原動力のこと

すなわち、これをコンピュータに例えると、
人的資本=ハードウェア
社会関係資本=ソフトウェア
心理的資本=パワー(電源)

とも言えます。エネルギーがないとそもそも何も動きません。これは人でもおなじことです。
尚、資本というからには、投資するとリターンが得られるので、この3つの資本は開発可能です。

心理的資本は4つの構成要素からできています。頭文字をとってHEROともいいます。

Hope 意思と経路の力 こうありたいという目標(Will )を明確に持ち、そこに至る道筋(Way)を複数柔軟に描く力
Efficacy 自信と信頼の力 やりとげることができるという自己信頼感。有能感
Resilience 乗り越える力 困難やリスクに対しても、それらを乗り越えて大きく成長する力
Optimism 現実的な楽観力 失敗やネガティブなことに遭遇しても、前向きに捉え、次の行動を起こしていく力

いかがでしょうか。成長したな、と感じる時は、このHEROが開発されてきたとも言えるのではないでしょうか。

神戸大学の服部泰宏教授の「スター社員の研究」においても、スター社員の要素として心理的資本が豊かであることと関係があると述べられています。

心理的資本についてはこちらもご覧ください。

不安な人の特徴

ところでまだまだだなーと不安になる人とは・・

  1. 経営の方針やビジョンを理解せず、自分勝手な解釈をしている
  2. 指示を待っている
  3. 意に沿わないとイライラしたり不満げな表情を出すなど感情的になる
  4. 周囲の人に気を使いすぎて、厳しい指摘ができない
  5. 自分の知識、経験で決めつけた物言いをする
  6. 課題の指摘やできない理由ばかりを述べる

ところで、これを書いていてあれ?と思いました。こんな人は若い人だけではないですね・・ 私も気づかないうちにこうなっているかも。気を付けよう。

石見一女

石見一女

Be&Do代表取締役/組織・人材活性化コンサルティング会社の共同経営を経て、人と組織の活性化研究会(APO研)を設立運営。「個人と組織のイキイキ」をライフワークとし、働く人のキャリアと組織活性化について研究活動を継続。『なぜあの人は「イキイキ」としているのか』第1章30歳はきちんと落ち込め執筆、プレジデント社,2006年。

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