「どうしてうちの部下は、自分から意見を言ってくれないんだ…」
推進力には自信があり、誰よりもチームを引っ張っている自負がある。けれど、気づけば周りは自分の指示を待つだけの「イエスマン」ばかり。活発な議論でチームを盛り上げたいのに、会議はいつも自分の独演会…。
そんなジレンマを抱える管理職のあなた、
実は、その状況を作り出しているのは、あなた自身の「良かれと思って」の行動が原因かもしれません。
この記事では、部下に自主的に動いてほしいと願う管理職の方が、明日からすぐに実践できるチーム変革のヒントをご紹介します。
Contents
なぜ部下は「イエスマン」になってしまうのか?
「部下に任せていると、どうも遅くて…」 「結局、自分がやった方が早いんだよな」
そう感じて、つい部下の話を聞く前に細かく指示を出してしまっていませんか?
推進力のあるリーダーほど、この罠に陥りがちです。リーダーの「正解」へ導きたいという強い思いが、いつの間にか部下から思考や意見を奪い、「言っても無駄だ」「上司の言う通りにすれば間違いない」という空気を作り出してしまいます。
厄介なのは、上司も部下も、この「指示待ち」の関係性にお互いが慣れてしまい、ある種の居心地の良さを感じてしまうことです。しかし、このままではチームの成長は見込めません。
幸いにも、この記事を読んでいるあなたは、現状に危機感を抱いています。その思いこそが、チーム変革の第一歩です。
性格は変わらない。変えるのは「行動」と「仕組み」
「性格なんて、今さら変えられないよ…」
そう思うかもしれません。ご安心ください。
性格を変える必要はありません。変えるべきは、あなたの「行動」とチームの「仕組み」です。
ほんの少しの行動変容と、それを支える仕組みづくりの重要性です。ここでは、具体的なアイデアを3つのステップでご紹介します。
ステップ1:本気度を「宣言」し、視点を変える
まずは、あなた自身の意識を変えることから始めましょう。
- 弱みを自己開示する:「実は、俺、指示しすぎちゃう癖があって悩んでるんだ。もっとみんなの意見が聞きたいから、もし俺が先走ってたら『ちょっと待ってください』って言ってくれないか?」 このように、自分の弱みや目指すチーム像を正直にメンバーに伝えてみましょう。あなたの本気度が伝われば、部下も「意見を言ってもいいんだ」と感じ、あなたをサポートしてくれるかもしれません。
- 部下の「良い点」を探す(ブライトスポット): つい部下の欠点や仕事の遅さに目が行きがちですが、意識して「できていること」「成長したこと」を探してみてください。部下の良い点が見つかると、自然と心に余裕が生まれ、「もう少し任せてみようかな」という気持ちが湧いてきます。
- 社外に学びの場を持つ: 「部下のことが気になって仕方ない」というのは、ある意味「自分だけの価値観」に固執している証拠かもしれません。思い切って社外のコミュニティに参加するなど、自分の世界を広げてみましょう。多様な価値観に触れることで、自分のやり方が唯一の正解ではないことに気づき、部下の多様な意見を受け入れる土壌ができます。
ステップ2:「仕組み」で我慢をサポートする
強い意志だけでは、長年の癖はなかなか直りません。そこで「仕組み」の出番です。
- 会議のルールを変える:
- 発言は必ず「最後」にする。
- どんな意見が出ても、まずは「いいね、面白い視点だね」と肯定的に受け止める。
- 会議の最後には、必ず「他に意見がある人はいますか?」と問いかける。 これを「儀式」として徹底するだけで、部下が発言する心理的なハードルはぐっと下がります。
- 「初めてのおつかい」スタイルで任せてみる: いきなり大きな仕事を任せるのが不安なら、まずは「緊急度も重要度も低い仕事」から任せてみましょう。そして、手や口は出さずに、そっと後ろから見守るのです。万が一の時だけフォローする姿勢でいることで、部下は安心して挑戦でき、成功体験を積むことができます。
- 「ガードレール」を設けて任せる: 部下のやり方が、自分のベストな方法と違っていても、「チームの目標から大きく外れないか」「越えてはいけないリスクはないか」というガードレールさえ設定すれば、細かいプロセスは任せてみましょう。少し遠回りになったとしても、部下自身の力でゴールにたどり着いた経験は、何よりの成長につながります。
ステップ3:信頼関係を「再構築」する
これらの行動や仕組みを試しても、すぐに部下が変わるわけではありません。なぜなら、これまでの関係性の中で、信頼が少し損なわれている可能性があるからです。
焦らず、まずは日々の簡単なコミュニケーションから信頼関係を作り直すことを意識しましょう。
「最近どう?」「その仕事、順調?」といった声かけから始め、部下の話に真摯に耳を傾ける。その積み重ねが、心理的安全性の高いチームの土台となります。
部下を信じて任せることは、根気のいる挑戦です。時には「やっぱり自分がやった方が早い!」と元に戻りたくなる瞬間もあるでしょう。
しかし、部下の成長を待つ「我慢」の先には、あなた一人の力では決して到達できない、大きなチームの成果が待っています。
まとめ
これまで見てきたように、部下が意見を言えない状況は、決して部下だけの問題ではありません。むしろ、リーダー自身の「良かれと思った行動の癖」や、チームに根付いてしまった「暗黙の仕組み」に起因することがほとんどです。
部下が自ら考え、行動し、成長してくれれば、あなたは本来やるべき、より創造的で戦略的な仕事に集中できるようになります。それは、チームの成果を最大化するだけでなく、あなた自身の成長にも繋がるはずです。
完璧を目指す必要はありません。まずは、何か一つだけ試してみませんか?
その小さな変化が、チームに新しい風を吹き込み、部下との信頼関係を深める確かな一歩となります。あなたの勇気ある行動変容が、チームの未来を大きく変えていくはずです。