評価されていないと感じてモヤモヤしている人【ケースから考えるガイディング】

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仕事や生活の中で起こり得る場面を切り取り、ガイディングの視点で要因と対策の一例を提示する「ケースから考えるガイディング」シリーズ。今回は「評価されていないと感じてモヤモヤしている人」です。

同僚同士で悩み相談が行われているようです

ここは、とある職場の休憩室。山口さん(仮名)が同僚の西野さん(仮名)、南さん(仮名)に何やら話を聞いてもらっているようです。少し覗いてみましょう。

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山口

最近、なんだか評価されてない気がして…。ちょっとモヤモヤしているので話を聞いてほしい!

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西野

うん、私たちでよければ話を聞くよ。遠慮なく、どーんと話しちゃって!話をするだけでもスッキリするかもしれないよ。

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山口

自分なりに頑張っているつもりなんだけど、全然結果がついてこないし、上司からのフィードバックも少ないんだよね。

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うーん、わかるよ。頑張っているのに、誰もそれに気づいてくれないとやる気なくなるよね。特に何も言われないと、今のままでいいのか不安になる。僕も何度か経験あるな。

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西野

結果が思う通りに出ないことって、たしかにあると思う。でも山口さんの上司のあの方も忙しくて、部下のことが見えてないのかもしれないね。

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山口

そうなんだよね。最近はやることが多くてさ、案件も増えて忙しいんだけど、どれも特別に目立つ成果って感じじゃないから。自分がこのまま進んでいいのかもわからなくて、モチベーションがどんどん下がってきてるんだ。上司も頼っていいか分からないし。

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その気持ち、すごくわかる。忙しいのに成果が見えないと、何のためにやってるんだろうって思っちゃうよね。周りがどう評価してるのか、言われないと気づかないことも多いし。

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山口

そうそう。頑張っても成果が見えづらいと、ただ疲れるだけで、結局何も変わらないんじゃないかって思っちゃうよ。最近は正直、どうモチベーションを保てばいいのかもわからなくなってきちゃった。

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西野

それ、すごく辛いよね…。周りに相談しても、解決策が見つかるわけでもないし。うーん、私も何かアドバイスできればいいんだけど…ただ、話を聞いている限り、山口さんは十分頑張っていると思うよ。

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山口

ありがとう。そう言ってもらえると、少しは気が楽になるかも。でもやっぱり、自分がもっと結果を出さなきゃってプレッシャーは感じるんだよね。

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プレッシャー感じるよね…。でも、山口さんの頑張りはちゃんと見てる人はいると思うよ。すぐには成果が出なくても、続けていけば必ず報われる時が来るんじゃないかな。

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山口

うん、そうだといいんだけどね。とりあえずもう少し頑張ってみるよ。話を聞いてくれてありがとう。

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いつでも話してね。無理しすぎないように、頑張って。

会話を終えて席に戻った西野さんは、思い返しながら考え事をしているようです。

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西野

評価されていないと感じると、気持ちが少し落ち込んでしまう気持ちは私にも分かるけど。でも、ただ頑張るだけではなくて、できることがありそうな気もするんですよね。

読者の皆さんは、この場合どのように考えますか?

モヤモヤや不安によるネガティブスパイラルを断ち切るには?

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橋本

今回のケースも大なり小なり、見かけますし耳にする事例ですよね。西野さんと対策について考えてみます。

今回のケース、山口さんが会社や上司から評価されていないと感じて、モヤモヤしつつ、モチベーションが落ちかけている状況ですね。そして同僚の二人が、共感をしながら話を聞いている様子です。頑張っているのに結果がなかなか伴わないということもあります。だからこそ、頑張っているプロセスもしっかり見て認めてほしい…、その気持ちも分からなくはないですよね。ビジネスの場は成果がすぐに出るものばかりではありませんし、時間がかかるものもあれば、環境に左右される場合もあります。とはいえ、それでモチベーションを落としていては、もったいない!そんな風に思いませんか?

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西野

頑張っていることは同僚の私から見ても、よく分かっているんです。私は共感しつつ話を聞いてあげることしかできないんですけどね。ビジネスの現場は成果が求められるのも重々承知しているし、きっと本人も理解はしていると思うんですよね。

まず西野さんや南さんたちのように話を聞いてくれる存在は、とても大切ですね。ビジネスに限らずですが、思う通りの結果がなかなか出ず、くじけそうになることは誰にだって起こり得ることだと思います。そんなことがずっと続いた時に孤立して孤独を感じてしまうと、悲観的に考えてしまうネガティブループから抜け出せなくなってしまうこともあるでしょう。だから山口さんにとってお二方は、ありがたい存在だと思います。

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西野

少しでも力になれているなら良かったです。でも本当はあともう一歩、良い提案でできたら良かったなと思っちゃいます。自分自身が同じ状況に陥った時に、どう考えたら良いかという意味でも、こんな時どう行動したら良いか考えておきたいと思うんです。

そうですよね。ガイディングの視点で状況を整理してみましょうか。

まず、モヤモヤしている時は行動が伴っていない時に起こりがちだと思います。
そして不安が募っている時は、具体的な方策がイメージできていない時でしょう。
また、今回は評価についてのモヤモヤが前提にありますよね。他者からの評価をコントロールしようと思わず、自分にコントロールできることが何かを整理することが大切になるでしょう。

いずれにしても、これから前向きに行動を起こせるようするために、具体的にどこに向かって何を成せば良いか明確にしていくことが必要になりそうです。

行動を起こしたら、最終的な成果が見えづらくとも、何らかの結果が出ているはずです。その結果をどう捉え、次にどう活かすかが大切ですし、その一歩一歩を達成体験に変えることができます。成果を出すためにも、この一歩一歩をないがしろにしないことですよね。道はその先にも続くわけですし!

そもそも上司にプロセスを報告共有してコミュニケーションをとることができてるか?これも本来はコントロールできることのはずです。もしそれをやっていないにも関わらず、評価されない、見てくれていないと思っているなら、それは上司への期待値が大きすぎませんか?上司も超人ではないはずです。忙しい人が常に見てくれているとは限りません。しっかりコミュニケーションをとれるときにとる。これは初歩的ですがとても大切なことですよね。

もし、それ以外に問題があるのであれば、その問題の要因を現実的に確認し、どう現状を乗り越えるのか検討し行動を起こしていく必要があるでしょう。

モチベーションが…という話もありましたが、モチベーションはそうでなくとも上がったり下がったりするものなので、そこに依存しないことも大切ですね。
下がっている時にも、上記のように考えを整理し、現実的に乗り越えていくための方法を検討し、まずはできることから行動を起こして行けば良いと思います。小さくとも達成体験を得られれば、自ずとモチベーションは後からついてきます。自信がついてきますからね。

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西野

なるほど、できることはたくさんありそうです。モヤモヤしている時は行動ができていない時、不安がつのる時は方策が見えていない時。なんかとても分かる気がします。

ガイディングの視点も交えて、考え方や対策について検討をしてみました。
それでは、改めて今回、心理的資本(行動につながる原動力となる前向きな心の状態)のどこに注目したのか、紐解いてみましょう。

ガイディングの観点ならこう見る

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橋本

心理的資本を高める手法である「ガイディング」を用いて、仮説を立ててみます。山口さん(仮名)の場合、私ならこう見ます。

Hope(ホープ/意志と経路の力)の視点

山口さんは、良い成果を出したいという意志(Will)があることは間違いなさそうです。だからこそ思い悩みますし、成果が出ていないことで評価されていないんじゃないかと落ち込んでいるわけですよね。
同僚の南さんが「不安になる」と共感の言葉をこぼしていますが、本当にこのままやっていて良いのか、このままでは評価もされないんじゃないかという漠然とした不安がつのることもあります。こうした不安は、成果を出すための手段や方法が具体的ではなかったり、バリエーションが乏しかったりすることで成果が出る見通しが立たたないことで生まれます。経路(Way)の力が弱い状態なんです。だから今回の場合、成果を出すために、どんな方法があるのか。今一度、見直してみたいですし、一人で考えず他者の力を借りることも「Way(方法)のひとつ」と言えないでしょうか?
さらに深く突っ込むならば、なぜここで成果を出したいと思っているのか、その先にある「Will」を問うこともできますが、今回の話ではいったん置いておきましょうか。

Efficacy(エフィカシー/自信と信頼の力)の視点

山口さんは、結果がついてこないことで不安が増大しているようにも思います。最終的な成功という結果が出ることは、もちろん大きな自信になりますし、やりがいにも影響があるでしょう。ただ、成功ばかりするわけではありませんし、成果につながるまで時間がかかることは仕事の内容によってはよくある話です。
成果を目指す道のり(プロセス)では、様々な試行錯誤をしているのではないでしょうか。何らか行動を起こしているはずなのです。その行動した結果ひとつひとつを、ふりかえり、必要なら次の行動を改善していく。その繰り返しによって、取り組んでいる仕事の領域の専門性は着実に積みあがっているものです。熟達していくという表現でも良いでしょう。
上司からの評価やコメントが無くとも、自分自身が成長している実感が得られたり、成果に向けて一歩ずつ進んでいる実感が得られると、捉え方はまた変わってくると思います。モチベーションに左右されることも少なくなるでしょう。
願わくば、山口さんの上司の方も、そのすべてを見ることが難しくとも、努力を見かけたら承認をするなり、あなたらならできるよというフィードバックを投げかけてほしいですが!

Resilience(レジリエンス/立ち直り乗り越える力)の視点

山口さんは、現状このままではマズイなということで、危機感を感じているのだと思います。リスクマネジメントという視点では、とても大切なことなんですよね!そこまでは素晴らしいですが、この状況を打開して乗り越えていくために具体策を考えていく必要があるでしょう。
リスクとなっている要因は何でしょうか。もしかしたら上司とのコミュニケーションが大きな要因かもしれませんし、自身のスキル不足が要因なのか、目標の前提条件の見直しが必用なのかもしれません。リスク要因を明らかにしなければ、対策も打てませんよね。(リスク焦点型)
また、現状を乗り越えるために使える自分が持っている資産や資源は何があるでしょうか。近い経験をしている先輩や同僚につながりはないでしょうか。自分の知識やスキルや経験で役に立つことは無いでしょうか。リスク要因に対して、適切な資産資源を活用していくことが大切です。(資産焦点型、プロセス焦点型)

Optimism(オプティミズム/柔軟な楽観力)の視点

山口さんは、上司から評価されていない”気がする”ということで、勝手に悲観的になっているようにも見えます。相手がどう思っているのか、考え続けても何も現状が変わらないものです。考え続けている限り「モヤモヤ」しっぱなしになるでしょう。
そんな時は「自分にコントロールできないことを棚に上げちゃう」ことです。そして「自分にコントロールできることは何かを具体化する」ことです。この2つを整理するだけで、いま自分が何をすると良いか行動が具体化します。あとはその行動を実行に移していくのみ!
そう、モヤモヤする時は、この整理ができていないことに加えて、行動を起こせていないので状況に変化が無いということなのです。行動を起こすことが難しい、自分にコントロールできないことが要因として大きすぎる時もあるでしょう。そんな時は「考えても無駄」と割り切って、別の目標に切り替えることも大切かもしれません。
人事を尽くして天命を待て!です。←私はこの言葉、好きですね。

今回お示ししたガイディングは一例に過ぎません。体系的にガイディングを学んでみたいと思われた方は、ぜひPsyCap Master®認定講座の受講をご検討くださいね。

何はともあれ、小さくとも行動を起こしてみてほしい!

自分自身でもバカバカしいほど簡単だと思うことだって良いので、何らか行動を起こしてみてほしい、そんな風に思います。どんな行動を起こせば良いか、イメージが曖昧だから不安がつのるし、自分にコントロールできないことに思考を持っていかれてしまうからモヤモヤしてしまうんです。

目標達成や成果のためにできることは他にないか。自分がコントロールできることは何か。自分が行動を起こせることは何か。やってみてどうだったか。次につなげるために何ができるか。うまくいったことは無いか。

打開策となるもの。突破口となるものは、必ず見つかると思います。山口さんを応援したいですね!

「ケースで考えるガイディング」シリーズの前回記事「強い成功体験が邪魔をする!?自分のやり方に固執する人」も良ければどうぞ!

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に『心理的資本をマネジメントに活かす』(共著)中央経済社,2023年がある。

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