前向きな行動の原動力となる心理的資本。これを構成する要素「HERO(Hope、Efficacy、Resilience、Optimism)」を開発するためのヒントや参考になる情報は巷に溢れています。また、個人の心理的資本を開発しやすくする職場環境づくりのヒントも同様です。
そこで、せっかくなので!心理的資本を高めるガイディングの観点を活用しつつ、おすすめの書籍を紹介していく企画をスタートさせることにしました。
今回取り上げるのは『「儀式」で職場が変わる~働き方をデザインするちょっとヘンな50のアイデア』クルシャット・オゼンチ、マーガレット・ヘイガン著、斎藤慎子訳(英治出版)です。ちなみに「儀式」といっても、怪しげなカルトではなく、個人や組織で実施できる「ルーティン」や「イベント」のようなものだと解釈してください。
個人で実施できるものから、チームや組織単位で実施するものまで、面白く楽しみながら取り組めるものが多数収録されています。例えば儀式を行う目的としては、「クリエイティビティやイノベーション」を生むためのもの、「パフォーマンス向上やフロー状態」をつくるためのもの、「対立やレジリエンス」を乗り越えるためのもの、「コミュニティ」のつながりや一体感を生むためのもの、「組織の変革期や転換期」で区切りにするためのものなど。
先日、参加させてもらっているグループワークの研究会で紹介され、その場で「儀式」について考えさせらる良い時間となりました。その場で、書籍に掲載されている儀式のひとつを実際にグループでやってみる機会にもなりました。
心理的資本(HERO)を高めるヒントはココ!
心理的資本の要素のうち「Hope(意志と経路の力/希望)」を開発するために「儀式(ルーティン)」は活用できます。
何らかの目的を成すために、目標を達成するためにも、行動を続けることが重要です。そもそも人は弱い生き物で、つい面倒になればさぼったり、疲れて動けなかったり、気が散ってしまうことはあるものです。だからこそ、本来の目的地に向かう道に戻っていくためにも、それらを意識をするトリガーとして儀式を設定するというのは、良い方法だと思います。
儀式は、Will(意志)を達成するため描くWay(経路)となる手段のひとつと言えます。
主にHope(意志と経路の力)を開発することに活用できる儀式ですが、その目的をどこに置くか次第では他の心理的資本も高められそうです。
- お互いにポジティブなフィードバックを伝え合う場を設定する=Efficacy(自信と信頼の力/効力感)が高まる
- 良い緊張感を持つためにテーマソングをBGMでかける=Efficacy(自信と信頼の力/効力感)が高まる
- 1週間をふりかえり嬉しかったことや頑張ったことを発表する=Optimism(柔軟な楽観力/楽観主義)が高まる
- リスクを分析して打ち手を考えるミーティングを定期開催する=Resilience(乗り越える力/超回復)が高まる
例えばこのようなイメージでしょうか。
余談ですがグループワーク研究会でやってみた「お陀仏プロジェクトのお通夜(合同葬)※書籍内P78 掲載」という儀式が面白かったのです。これは自分の中で成仏(?)させたいプロジェクトや失敗談を、皆の前で発表して、明るくフィードバックし合うような場をつくる感じです。そうすることで、次につながる糧となるばかりか、失敗を良い意味で許容する組織風土づくりに寄与できそうです。
すぐに個人でできるものもあるので、心理的資本を普段意識的にマネジメントしたいと思ってできていない人も、うまく儀式(ルーティン)を取り入れてみるのはいかがでしょうか。
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