●●なときは人のせいにしていい!?「柔軟な楽観力」の考え方とは

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「人のせいにしていいです」と聞いて、どう感じますか?そんなバカなと憤る人もいるかも知れません。私たち日本人、特に社会人となったビジネスパーソンには、「他責ではなく、”自責”で物事を捉えよ」という考え方が浸透しているかと思います。私は新入社員研修でそれを教わりました。いわば、社会人としての基礎です。

自責で捉えることで、自分自身が変化を起こせる主体者なんだという意識を持つことができます。逆に、人のせいにしていては、ミスや課題に向き合っているとはいえない。これでは反省しないし、成長しないのです。
・・・こう言われるとぐうの音もでません。ですが、この自責という考え方が強すぎると、「自分を責めること」にも繋がりかねないのです。本コラムでは、心理面資本を構成する4要素の一つである、Optimism(オプティミズム/柔軟な楽観力)の考え方に基づきつつ、この「人のせいにしていい」ことについて考えてみたいと思います。

将来の探索につながるのであれば、思い切って人にせいにしてもいい

タイトルに、「●●なときは」と書きましたが、ここに入る言葉は、「将来の探索につながるのであれば」です。(当然ながらなんでもかんでも人のせいにして良い訳ではないことをご留意いただきつつ)将来の探索、つまり前向きな行動や考え方に結びつくチャンスを生むのであれば、思い切って人のせいにしていい時もあると、心理的資本のOptimismでは考えます。

例えばこんなときです。元サッカー日本代表監督の岡田武史さんがよく講演等で話をされてるエピソードを事例として紹介します。

彼は1998年のワールドカップ予選の前年、急遽日本代表監督に抜擢されました。監督経験自体がはじめてで、しかもいきなり日本代表監督。就任したことに対して脅迫や抗議の電話が止まらず、家の前は24時間パトカーが止まっている状態。ものすごいプレッシャーを感じ、「明日もし勝てなかったら、俺は日本に帰れない」と本気で思っていたそうです。

精神的に追い込まれていた岡田さんですが、ここで発想を切り替えます。

もういい。明日俺は急に名将になれない。俺ができることは、今持っている力を100パーセント出して命懸けでやる。それでダメだったら、力が足らねえからしょうがない。謝ろう。「日本の国民のみなさん、申し訳ございません」と。「でも、これは俺のせいじゃない。絶対俺の責任じゃない。俺を選んだ会長、あいつのせいや」と。そう思った瞬間から完全に開き直って、怖いものがなくなりました。

引用:ログミーBusiness/2023.09.07記事『リーダーに必要なのは「トライ&エラー」よりも「エラー&ラーン」 「思わずついていきたくなる」指導者の共通点』(https://logmi.jp/main/management/329262

もし敗退しても、それは自分を急遽監督に抜擢した会長のせいだと割り切った岡田監督。このあと、結果としてチームは初のW杯切符を手にすることになります。もし岡田さんが「全ては自分の責任だ」とプレッシャーを背負い込んでいたなら、結果は違っていたかも知れません。まさに、思い切って人のせいにしたこと(他責)で、「将来の探索につながった」例です。

柔軟な楽観力を磨こう

すでに少し触れましたが、心理的資本を構成する4要素のうちの一つに、Optimismがあります。Optimismを直訳すると”楽観主義”なのですが、この表現では「なんとかなるか~」という根拠のない展望のようにイメージされるかも知れません。私たちはOptimismを”(現実的で)柔軟な楽観力”と表現する方が本来の意味を捉えていると考え、このように意訳しています。”○○力”と呼んでいるのは、単に楽観的という性格の話ではなく、磨くことができる思考スキル・習慣であるからです。

Optimismの開発には、3点が重要とされます。

  1. 過去への寛大(過去の出来事への寛容で前向きな姿勢)
  2. 現在への感謝(現在の自身の状況を肯定的に捉え物事に感謝する姿勢)
  3. 将来に向けた機会探索(未来をさらに良くするための機会を探す思考

念のため補足しておくと、今コラムで述べているあえて人のせいにするという考え方がOptimismの「全て」では無いです。この❶❷❸の考え方をベースに、状況や出来事に対する前向きな意味づけをするにあたって、あえて人のせいにするという考え方が役立つケースも時にはあるということです。

困難を打開するために。前に進むために。あえて人のせいにしてもいい時があるかも知れない。そんな思考のアンテナを立ててみることを、ぜひおすすめしたいと思います。「自責で捉えるべき」という信念を少しだけ手放してみてください。思いがけず、前に進めることがあるかも知れませんよ。

※本コラムではOptimismの詳しい解説は割愛しますが、こちらの無料オンデマンドセミナー動画をご覧いただくことで、Optimismを含む心理面資本について知ることができます。

赤澤智貴

赤澤智貴

心理的資本コンサルタント。株式会社Be&Doのプランナー。人材サービス会社での企画営業を経て、2019年8月より現職。社員が楽しく前向きに挑戦し、成果が出る組織作りの実現を目指している。素材メーカーのマネジメント人材育成、組織開発、小売業の人材育成強化などを担当。日本心理的資本協会認定PsyCap Master®。健康経営アドバイザー。アンガーマネジメントファシリテーター。趣味は野球。二児の父。

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