エンゲージメントを高める職場のリーダーシップとは?

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大手企業を中心に人的資本経営が叫ばれるようになりました。近年、企業規模に関わらず、人材不足の課題も多く起こっていることから、従業員の「エンゲージメント」への注目度はますまず高まっているように思います。いや、本当に差し迫った課題として、ようやく正面から向き合うようになっているのかもしれません。

さて、よく聞く話があります。従業員向けにエンゲージメント調査を実施しており、データをとっているし、現場に結果をフィードバックしているものの、その具体的な対策については現場任せになっているという話です。

今回はエンゲージメントを高めるリーダーシップや現場マネジメントについて考えてみたいと思います。

2つのエンゲージメントと「働きやすさ」

エンゲージメントと一言でいっても、厳密には2つの視点があるとされます。

この会社のために働きたいとか、この組織に貢献したい、この仲間と共に仕事をしたい、というような「情緒的なコミットメント」に近しい「従業員エンゲージメント(Employee Engagemnt)」をさすエンゲージメントがそのひとつです。

もうひとつは、その職務に対しての夢中度、没頭度や活力といった「働きがい・やりがい」を示すような「ワーク・エンゲージメント(Work Engagement)」です。学術的に研究され認められているのは、こちらのワーク・エンゲージメントといわれています。

いずれも組織の業績や、人材の定着率にも影響するといわれている考え方です。それだけ企業にとっては重要な指標となるわけですが、ではどうやって「エンゲージメント」を高めるのでしょうか。

もうひとつ、働きがいと対になる考え方として「働きやすさ」についても触れたいと思います。
働きやすい職場というのは、余計なストレスを抱えることなく、多様な背景を持つ人が存分に自分の能力を発揮できるような環境や体制をつくれている組織なのだと思います。「働き方改革」の文脈で、働く場所や、働く時間、効率化、生産性向上のための様々な施策も行われてきました。また「心理的安全性」に注目する背景も、ひとりひとりが遠慮なく能力を発揮できる場づくりとして関係するでしょう。

このように見てくると「従業員エンゲージメント」につながるであろう、この会社で働き続けたいという想いは、こうした「働きやすさ」を実現していく過程で育まれる要素も多分にあると感じています。
働き方については、企業の戦略や業態に合わせて、人事制度や労務の観点から適応していくことが可能でしょう。また心理的安全性の側面からは、現場のマネジメントやコミュニケーションによるところが大きく、一筋縄にはいかないというのが本音ではないでしょうか。このあたりは実はひとりひとりの「働きがい」とも関連があると思っていますので、後ほど解説します。

そんなわけで「働きやすさ」を重視することは大切ですが、これだけではやはり片手落ちだと私は考えます。

考えてみてください。ただただ「働きやすい」だけの職場ならどうでしょうか。これは極論ですが、挑戦しなくてもいい、難しい課題には取り組まなくていい、最低限の仕事をこなせば良い、それで報酬をもらえるような職場だったら?おそらく企業としての成長が鈍化するどころか衰退し、働くひとりひとりが成長を実感することもできず、志ある人から退職をしてしまいかねないのではないでしょうか。一方で、楽をしたいだけの”ぶら下がり”社員だけが残っていくという、経営者としては目も当てられないような状況になってしまいそうです。

勘違いしてはダメなのは「働きやすさ」はとても重要です。多様な背景や事情を持つ人が、能力を発揮しやすくする、働ける場や機会が生まれるためのとても重要な要素だと思います。そして何より心身の健康を考えた時に、過度なストレスがかかり続ける職場というのは良いことは何もことはありません。

というわけで、再びですが「働きやすさ」を重視することは大切ですが、これだけでは片手落ちなんです。

働きやすさと、働きがいは両輪で考える

私は「働きがい」と「働きやすさ」は両輪で必要だと思っています。セットで考えます。

この2つ両方が揃ってこそ本当のエンゲージメントが生まれ、結果として「ウェルビーイング」な状態にもなるのだと。よくウェルビーイングは「主観的幸福」なので、「なんか幸せ~」みたいな状態だと勘違いされがちですが、皆さん「イキイキ」している時ってどんな時でしょうか。何かに夢中になったり、達成感を感じたり、しんどいことがあっても、乗り越えて成長をできたと実感している時ではないでしょうか。

では「働きがい」はどうやって刺激すれば良いのでしょうか。

  • 組織のリーダーやマネージャー自身がポジティブに取り組むことができている
  • ひとりひとりの自律的な目標達成を支援できている
  • メンバーどうしの信頼関係があり学び合いや協働が生まれている

こんな状態を目指して行くと、自ずと自分自身も組織のメンバーも働きがいが生まれてきそうです。

リーダー自身がポジティブな自分らしいリーダーシップを発揮するためにも、メンバーひとりひとりのポジティブなリーダーシップ発揮を促すためにも、ここで注目したいのが「働きがいにつながる個人資源である心理的資本」です。心理的資本は、前向きな行動につながる原動力であり、心のエネルギーだとお考え下さい。
※ここでのリーダーシップとは、その人の行動によって周囲に良い影響力を発揮していくことだと捉えています。

つまり、心理的資本に着目し、リーダー自身がセルフマネジメントを行っていけることや、メンバーの心理的資本をマネジメントできる状態をつくることがカギを握っているのです。

例えば、以下のようなことをやっているでしょうか。

  • 自分の志や想いといった意志を明確にする
  • 目標を適切に設定し、行動計画を具体化できる
  • 自分でコントロールする自己決定・自己選択を重視する
  • 失敗を許容し試行錯誤による達成体験を促す
  • 物事の良い側面や良い点に気づくことができる
  • ポジティブなフィードバックを伝えることができる
  • 資産・資源を適切に認識することができる
  • ピンチをチャンスに変えらえれる思考を持てる
  • 物事を肯定的に捉えなおすリフレーミングができる

これはほんの一部に過ぎませんが、これは心理的資本を高められるアクションなんです。

素晴らしいリーダーや、スター社員と呼ばれる人材の中には、こうしたことをごくごく自然にやっている人もいます。もちろんパーソナリティによるものもゼロではありません。しかしながら、これらはスキルであり、後天的に身に付けられる思考法や思考習慣・行動習慣なんです。心理的資本は開発できるんです。

自分らしいリーダーシップの認識を促しながら、心理的資本を開発するセルフマネジメントや、マネジメント法についてトレーニングを行うCG1(Confidence Guiding One)で、働きがいを刺激してエンゲージメントを高めるマネジメント、ウェルビーイングを支援する方法の習得を目指していただきたいです。

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橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に『心理的資本をマネジメントに活かす』(共著)中央経済社,2023年がある。

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