人生という航海の「軸」を持とう。逆境の嵐を乗り越える「やりたいこと」の力

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「何があっても折れない、鋼のような強い心が欲しい…」
変化が激しく、先行きの見えない現代社会において、多くの人がそう願っているかもしれません。しかし、本当に目指すべきは「決して折れない心」なのでしょうか?
むしろ大切なのは、たとえ折れてしまっても、立ち直り、再び歩み出せる強さではないでしょうか。
今回は、この「立ち直る強さ」の源泉となる心理的資本という考え方を用いて、特に「目指すもの(やりたいこと)があることの強さ」と、それが「レジリエンス(回復力)」にどう繋がるのかについて掘り下げていこうと思います。

「やりたいこと」がある人は、なぜ強いのか?

あなたは、自分の「やりたいこと」や「こうありたい」という姿を明確に持っていますか?
それが壮大な夢である必要はありません。

例えば、「週末はあのカフェで読書をする」「新しいスキルを身につけて仕事に活かす」「大切な人を笑顔にする」といった、日常の中にあるポジティブな目標も立派な「やりたいこと」です。
こうした「目指すもの」があることは、昨今注目されている心理的資本の観点から見ても、非常に重要な意味を持ちます。心理的資本とは、人のポジティブな心理状態を資本と捉える考え方で、以下の4つの要素(頭文字をとってHEROと呼ばれます)で構成されています。

  • Hope(ホープ:意志と経路の力): 目標達成への意志と、そこへ至る道筋を描ける力
  • Efficacy(エフィカシー:自信と信頼の力): 特定の課題に対して、うまくやれると信じる力
  • Resilience(レジリエンス:乗り越える力): 逆境や困難から立ち直る力
  • Optimism(オプティミズム:柔軟な楽観力): 物事のポジティブな側面に目を向け、未来は良くなると信じる力

「やりたいこと」が明確であることは、特に「Hope」「Optimism」を育む上で強力なエンジンとなります。

  • Hope →未来への羅針盤: 目指す場所がはっきりしているため、「そこに向かって、何をすべきか」という具体的な道筋を描きやすくなります。荒波の中でも進むべき方角を見失わない羅針盤を持っているような状態です。
  • Optimism→ポジティブな未来像: 「やりたいこと」が実現した未来を想像することは、自然と私たちを前向きな気持ちにさせます。「きっとうまくいく」という感覚が、行動へのエネルギーを与えてくれるのです。

つまり、「やりたいこと」を持つことは、未来への希望と楽観的な見通しを与え、私たちを内側から強くしてくれるのです。そして、この「Hope」と「Optimism」こそが、困難な状況に直面した際の「Resilience(乗り越える力)」の強固な土台となるのです。

「ぶれない軸」が、折れても立ち直れる「レジリエンス」を生む

では、その繋がりを具体的に見ていきましょう。
「やりたいこと」という、いわば人生のぶれない軸を持つことは、どのようにして「折れても立ち直れる強さ=レジリエンス」に繋がるのでしょうか。
想像してみてください。航海の途中で、あなたの船が嵐に見舞われたとします。

【軸がない船】 嵐に翻弄され、どこに向かっているのか分からなくなります。絶望し、その場で漂うことしかできなくなるかもしれません。失敗や困難は、単なる「終わり」を意味します。

【軸がある船】 たとえ帆が破れ、船体が傷ついたとしても、「あの港に行く」という明確な目的地があります。そのため、「まずは帆を修理しよう」「この嵐が過ぎ去るのを待とう」と、次の一手を考え、行動を起こすことができます。

この「軸がある船」の状態こそが、レジリエンスの本質です。

「やりたいこと」という軸があれば、困難や失敗に直面したとき、それを「目的地にたどり着くための過程で起きた出来事」と捉え直すことができます。

  • 失敗の意味づけの変化: 「もうダメだ」ではなく、「この方法は違ったか。じゃあ次はどうしよう?」と、学びや次へのステップとして意味づけできる。
  • 立ち直るためのエネルギー: 「これを乗り越えれば、やりたいことに一歩近づける」という思いが、困難な状況から這い上がるための強力なエネルギーになる。

ぶれない軸とは、決して折れない硬い棒のことではありません。嵐の中でも目的地を見失わず、しなやかに体勢を立て直すための、船の竜骨(キール)のようなものです。それがあるからこそ、私たちは打ちのめされても再び立ち上がり、前に進むことができるのです。

あなただけの「軸」を見つけよう

変化の激しい時代だからこそ、私たちは外部の環境に振り回されない「自分だけの軸」を持つことが求められます。

それは、決して揺らがない鋼の精神ではありません。

  • 心から「やりたい」と思えること
  • 困難な時に立ち返れる「原点」

こうした「ぶれない軸」こそが、あなたの心理的資本を高め、予測不能な出来事に見舞われても、しなやかに立ち直る真の強さ(レジリエンス)を育んでくれます。

もし今、明確な「やりたいこと」が見つからなくても、焦る必要はありません。まずは自分が「何をしている時に楽しいか」「どんなことに心が動かされるか」に、そっと耳を傾けることから始めてみませんか?

その小さな「好き」の積み重ねが、いつかあなたを支える、強くしなやかな軸になるはずです。



※心理的資本(HERO)についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

雪丸由香

雪丸由香

Be&Doカスタマー担当。化粧品メーカーでの社内SEを経てBe&Doに参加。 カスタマーサクセス担当として運用のサポートに従事。 滋賀生まれ、京都育ち、現在大阪在住。コロナ禍を機に韓国語に目覚めるも渡韓暦はゼロ。

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