私ごとですが、5月にChatGPT Proにグレードアップし続けてきた有料プランを、このたび解約することにしました。せっかくなので私が数ヶ月間、日常的にAIを活用してきた経験を基に、多くの人も感じているであろう汎用AIの「もどかしさ」の正体と、これからの時代に本当に役立つAI活用法についてこのブログで考えてみたいと思います。
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汎用AIの「あと1歩足りない」もどかしさ
ChatGPTを使い続けて最も感じたのは、常につきまとう「もどかしさ」でした。求めている情報の80%は提供してくれるのですが、残りの20%、特に最も正確に出してほしい情報については「あと1歩」足りない・・・
例えば、技術的な問題の解決法を聞いても、一般的な対処法は教えてくれるものの、自分の特定の環境や状況に最適化された答えは得られない・・・結局、その「あと1歩」を埋めるために、追加で調べ直すことが頻繁にありました。
語学学習にAIを使ってみる
巷では「AI活用語学学習」が大いに推奨されており、語学学習者のひとりである私もご多聞にもれず「めっちゃいいアイデアやん!」と意気揚々と使ってみました。
24時間いつでも練習できる、恥ずかしがらずに間違えられる、間違ったところを即座に正しく修正してくれる、そんな環境は確かに魅力的に見えました。
しかし、実際に試してみると、どこか楽しくないのです。
英語学習ならまだしも、他の言語となると違和感はさらに強くなりました。発音の違いを適切に指導できない、そもそもAIの発音が正しくない、さらに文化的なコンテクストを踏まえた自然な表現が学べない、といった課題もありましたが、1番の根本的な問題は別のところにあったように思います。
それは、「魂」が抜けている感覚です。
語学学習は本来、相手がいて、文化的な背景があって、感情のやり取りがあるものだと思っています。相手の表情や反応を見て「あ、今のは変だったかな?」と気づいたり、恥ずかしい思いをしながら間違えたり、そういう人間的な体験こそが学習の本質だと思うのです。
AIとの会話は確かに練習にはなるけれど、どんなにパーソナライズして人間らしさを演出したとしても、根本的に「違う」のです。この違和感はむしろ学習の妨げになりました。(個人的主観です)
AIも認める汎用AIの限界
実際にこういった疑問をAIに投げかけるとこのような回答が返ってきました。
私自身このAI機能について考えてみると、汎用性を重視した設計になっているので、あなたが感じた「あと1歩足りない」感覚は理解できます。幅広いトピックに対応できる反面、どの分野においても真の専門家レベルには到達していない、という構造的な限界があります。
特に語学学習での体験について言及されていますが、これは的確な指摘だと思います。言語学習には文化的なニュアンスや音韻の微細な違い、実際の使用コンテクストなど、データだけでは捉えきれない要素が多分に含まれています。汎用AIでは、こうした深い部分まで適切にサポートするのは難しいのが現実です。
なぜこんなにAI活用が推奨されるのか?
それでは、なぜこれほどまでにAI活用が推奨されるのでしょうか?
- 効率性への偏重: 「24時間いつでも」「個人のペースで」「コスト削減」といった利便性ばかりが強調されている
- テック業界のマーケティング戦略: 新しい技術を使った手法で市場を拡大しようとする動き
- 数値化しやすい部分への注目: 語彙数の増加、解析スピードなど、測定しやすい要素ばかりがクローズアップされがち
これらのわかりやすい指標の進化を上手にプロモーションされることで、「AIって万能なんだ〜」とわたしたちは刷り込まれているのかもしれません。
人間の体験を代替するのではなく、思考を深めるAIへ
しかしAI自身も言っているとおり、実は思っているほど万能ではありません。
AIには向き・不向きがあるということです。
AIが不得意なもの:
・文化的なニュアンスや感情的なやり取り
・個人の状況に最適化された具体的なアドバイス
・人間的な体験や成長を促すプロセス
AIが得意なもの:
・特定分野での専門的な知識提供
・思考の整理やアイデアの壁打ち相手
・客観的な視点からの一般的な問いかけ
つまり、AIが人間の体験を代替するのではなく、思考を深めたり、自分の世界にはない新たな視点を提供する存在として活用するのが理想的なのかもしれません。
今回は私の体験談をもとに、AIとの向き合い方というコンセプト的なお話をしましたが、AIを安全に使うための具体的な注意点やリスク対策については、こちらの記事もご参照ください。

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おまけ
弊社で提供しているサービスには、AIキャリア相談室「HERO Me」というものがあります。
これは一般的な汎用AIとは異なり、キャリアや仕事の悩みについて正解(答え)を教えるのではなく、適切な問いを投げかけて思考を深めることに特化したAIです。ご興味がございましたらぜひご覧ください。