近ごろ、「自分の機嫌は自分でとる」のような言葉をスイーツやお酒やアウトドアの写真とともに、SNS等で見かけることがあります。そこで、ふと思いました。「自分の心理的資本を自分で高める」ことができれば、最強なのではないかと。
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人がパフォーマンスを発揮し、成長をしていくための基礎となる心理的資本
心理的資本とは、何らかの目的や目標に向かって、前向きに行動を起こすことにつながるポジティブな心の状態を指し、パフォーマンス向上につながるエネルギー源でありエンジンの役割を果たします。「何をやろうとするのか」という意志と、行動を起こし成長をしていくことを目指すメンタリティのようなものです。詳しくはこちらをご参照ください。
▼心理的資本とは?働きがいにつながる「内なるHERO」知っておきたい概要と潮流
https://be-do.jp/phychological-capital-hero-samary/
自分の心理的資本は自分で高める!とは?
筆者は日本心理的資本協会認定のPsyCap Master®(心理的資本開発指導士)として、他者の心理的資本を高めるガイディングを学び、習得し、研鑽を続けています。その知識・スキルを自分自身のためにも使う、まさにセルフマネジメントならぬ”セルフガイディング”をすることで、可能な範囲で自分の心理的資本は自分で高めることを実践しています。そこで、ちょっとやってみようかと真似してもらえそうな具体的な例をご紹介します。
ケース1 なんだかいつもより頑張れないとき
「体調悪いとかじゃないけど、普段より仕事進まないな~」「甘えてるわけじゃないけど、やる気でないな~」そんなタイミングはないでしょうか?(多くの人は口に出さずともあるはず!と思っています。)タイプや状況にもよりますが、このような時に筆者がおすすめのセルフガイディングプロセスはこちらです。
ステップ2 出来ていることや他の人の頑張りに目を向ける
ステップ3 目標を見直してみる
ステップ1 頑張れない自分も一旦受け止める
頑張れない!となっている時にありがちなのは、「何ができたのか」「何をしたのか」などとにかくDoばかりに偏ってしまっている状態です。人がイキイキするためには「自分が自分であること」=Beの視点も大切。もしかしたら頑張れていないかもしれないけどそれはそれで、自分に価値がないわけでないと受け止めてあげたいところです。
ちょっと難しいなと思われた場合には、「頑張れてないって気づけてる自分ってエラいやん!」と思ってみるのはいかがでしょう?
ステップ2 出来ていることや他の人の頑張りに目を向ける
頑張れてないと思っていたとしても、意外と出来ていることはあるものです。大したことじゃないと感じることでも、出来たことをふりかえってみましょう。
例えば、月次の業務を正確にできた!相手に伝わりやすいように伝え方をほんの少し工夫した!メンバーの業務報告や進捗を確認して手伝ったり役に立てないかな?と考えた!直接的に仕事に関係ないけど心身の健康維持のためにちょっと運動した!など、些細なことでも大丈夫。出来ていることに目を向けることが自分への信頼感を維持したり、取り戻したりすることにつながっているんです。
また、他の人の頑張りに目を向けるのも一つです。自分が頑張れてないのに、他の人が頑張ってると落ち込みそうと思われるかもしれませんが、意外とポジティブな刺激がもらえます。そして、出来るのであれば、頑張ってる人に感謝や励ましの言葉も伝えてみましょう。他者を承認することは、自分の心理的資本を高めることにもなります。
ステップ3 目標を見直してみる
目標が曖昧で見失っていたり、目標を達成するための道筋が描くなくなっていたりすることで、頑張れなくなっている場合があります。次のような視点で見直してみることができます。
・目標を言語化できているか?その目標は自分自身が達成したいと思えるものか?
・目標達成までのステップは見えているか?ステップは1ヶ月くらいでふりかえることができるサイズか?背伸びをすれば達成できるレベル感になっているか?
・目標達成までの道筋は、複数考えられそうか?複数考えるために、使える武器・リソースは理解できているか?
・目標を達成したらどんなポジティブなことが待っているか具体的にイメージしたか?
いかがでしょう?自分自身で考えることもできますが、この目標見直しプロセスは他者との対話の中で、自分の視野が狭くなっていたことや、思いつかなかった方法に気づけることが多いです。対話の相手がプロフェッショナルじゃなくても大丈夫。他人に話すために言語化するだけでハッとすることもあれば、同じ仕事をしていないからこその素朴な疑問が貴重な思考の材料になることもあります。
ステップ3までくると、できることややるべきことが見えて、動き出せる感覚があります。
ケース2 あー、もやもやするー。というとき
「大事な会議やったのに、うまくいかんかったな~」「あの対応あれでよかったんかな~」と、もやもやすることはないでしょうか?もやもやは、成長の種であることが多く、これからの糧になります。時間が解決してくれる法やアルコールとお友達法をとる前に、おすすめのセルフガイディングプロセスはこちらです。
ステップ2 自分がコントロールできたこと、できなかったことに分けて考える
ステップ3 学びや次に活かせる発見をする
レベルアップ 現状に感謝する
ステップ1 一呼吸置く
もやもやする出来事の直後だと、ふりかえってみても、やや愚痴っぽくなったり、言い訳が先行したりしてしまったりしませんか?文字通り、ランチを食べたり、コーヒーを飲んだり、歩いてみたり、一呼吸置くことで、ステップ2以降が良いものになると思います。
ステップ2 自分がコントロールできたこと、できなかったことに分けて考える
ここから、もやもやと向き合っていく、ふりかえっていくわけです。ポイントは、①自分がコントロールできたこと・できてもよかったこと ②自分ではコントロールが効かなかったこと・自分以外の外的要因だったことの2種類に分けて考えてみます。シンプルですがこのフレームを使うことで、過度に自責にも他責にも偏らず、状況を見ることができます。このステップの中で、自分が何にもやもやしているのか、もやもやの正体の解像度が上がってきます。
ステップ3 学びや次に活かせる発見を探す
ステップ2で考えたことから、学びや次に活かせる発見を探します。自分がコントロールできたこと・できてもよかったことからは、「○○したらよかったんだ。次同じことが起こった場合には、○○できるように▲▲の準備をしておこう」のような学びが得られたらいいですよね。自分ではコントロールが効かなかったこと・自分以外の外的要因だったことからは、「□□は、もうしょうがないことだ。次同じことが起こった場合にも□□はしょうがないと割り切って、自分ができることに集中しよう」のような発見があるかもしれません。
ステップ2、3は自分一人でふりかえることもできますが、そこそこにもやもやしているときは、冷静に考えづらいかもしれません。そんな時は、冷静な第三者に「もやもやしたんだけど、ふりかえるから手伝って!」と話相手になってもらうこともあります。
ケース1なんだかいつもより頑張れないとき のプロセスでもありましたが、セルフガイディングは他の人に頼らず自分だけで行うものではなく、自分の周りにいてくれる他の人の存在も自分の貴重なリソースとして捉えて、頼れるところは頼る!それも、自分の心理的資本を高める上では大事なスキルです。
レベルアップ 現状に感謝する
ステップ1~3は、心理的資本の中でもオプティミズム(柔軟な楽観力)を高めるための”過去への寛大”という段階でした。余裕があれば、次のステップとして”現状に感謝する”ことがさらに心理的資本を強化します。現状に甘んじるわけではありませんが、今自分の周囲にある良いものや感謝したいものに目を向けることが、未来を描く助けになります。
心理的資本強化のすすめ
一人ひとりが、受け身ではなく、自分を資本として磨くことが求められる昨今。知識やスキル、ネットワークだけでなく、心のエンジンを強化する術を知っておくことが大切です。心理的資本はイキイキ・幸福感などの心理的なウェルビーイングや主体的な役割外の働き・協働といった行動と正の相関が研究で確認されています。つまり、心理的資本を高めることは、自分のためだけでなく所属する組織への貢献にもなるという一石二鳥なのです。
本稿では、やや心の状態が下降気味のときの対処について紹介をしましたが、今よりパフォーマンスを高めたい、成長したいと願う方は、強い心理的資本を持つことで困難も乗り越えていけます。組織としても、メンバーの心理的資本をガイディングで高め、難しい局面でも肯定的な思考と行動ができる仲間と仕事ができれば、これほど心強いことはありません。
他者の心理的資本も、自分の心理的資本も高めることができるガイディングを学んでみたいと思われた方はPsyCap Master®認定講座の情報をチェックしてみてください。
ちなみに「自分の機嫌は自分でとる」は2018年に人気テレビ番組「世界の果てまでイッテQ」内でみやぞんが発した言葉だそうです。様々な無理めなチャレンジを、不満を言いながらも楽しそうにやる姿。みやぞんは運動神経や器用さだけじゃなくて、心理的資本も高いだろうと思っています。