「ベストを尽くします」は実はNG?科学が証明した、成果を爆発させる「目標設定」5つの新常識

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「今年こそは!」と意気込んで立てた目標。 しかし、気がつけば日常業務に追われ、いつの間にか目標がうやむやになってしまった……そんな経験はありませんか?

実は、私たちが良かれと思ってやっている目標設定の「常識」の中には、科学的に見ると効果が薄い、あるいは逆効果になってしまうものが混ざっています。

今回は、40年以上にわたる心理学の研究(目標設定理論)から判明した、「あなたの生産性を劇的に変える5つの真実」を、誰でも実践できる形でお伝えします。

「ベストを尽くします」という言葉の罠

上司やチームメンバーとの会話で、「とにかくベストを尽くして頑張ります!」と言っていませんか? 一見、やる気に満ちているように聞こえますが、実はこれ、目標設定としては最悪のアプローチの一つなのです。

なぜダメなのでしょうか。

なぜなら「ベスト」という言葉には、明確な「ゴールテープ」がありません。「今日はこれくらいでいいか」と自分で勝手にハードルを下げてしまいやすくなるからです。

では、どうすればいいのか?

研究によると、曖昧なスローガンよりも「具体的で、ちょっと難しい目標」の方が、確実に成果が上がることがわかっています。

  • × 「売上アップを目指して頑張る」
  • ○ 「今月は新規契約を10件取る」

具体的な数字やゴールがあることで、脳は迷いを捨て、そこに向かって全力を出し始めます。まずは「頑張る」という言葉を封印し、「数字」で語ることから始めましょう。

成果を出す人は、あえて「満足」しない

高い目標を掲げてバリバリ成果を出す人たち。彼らはさぞかし達成感に満ち溢れ、満足しているだろうと思いませんか?

実は逆です。高い成果を出す人ほど、現状への満足度は低いというデータがあります。

「生産的な不満」を持とう、ということかもしれません。
彼らは「まだ足りない」「もっとできるはずだ」という健全な不満(=生産的な不満足)をエネルギーにして、次の行動を起こしています。

もしあなたが、今の自分の成果にモヤモヤを感じているなら、それは悪いことではありません。その「満足できない気持ち」こそが、あなたを次のステージへ押し上げる最強の燃料なのです。

「とりあえず全員で話し合う」だけでは意味がない

「目標を決めるときは、部下やメンバーに参加させたほうがモチベーションが上がるはずだ」 これはマネジメントの定説ですが、実は半分正解で、半分間違いです。

研究によると、上司が一方的に決めた目標であっても、「なぜその目標が必要なのか(Why)」を腹落ちするまで説明すれば、自分たちで決めたときと同じくらいやる気が出ることがわかっています。

参加させる本当のメリットは「知恵」

メンバーを目標設定に参加させる最大のメリットは、やる気アップよりも、「どうやれば達成できるか」というアイデア(戦略)が集まることにあります。

リーダーの皆さんは、無理に全員の合意を取ろうとする必要はありません。その代わり、次の2つを徹底してください。

  1. 「なぜやるのか」という理由をしっかり伝えること。
  2. 「どうやるか」という作戦会議にはメンバーを巻き込むこと。

です。それがチームと本人にとってのWillやWayになり、推進力を発揮するのです。

「新しい仕事」で数字を追うと失敗する

「具体的で難しい目標」は強力ですが、使い所を間違えると大変なことになります。
それは、「まだやり方がわからない、新しい仕事」に取り組むときです。

右も左も分からない状態で「今月100万円売り上げろ!」と数字を突きつけられると、人はパニックになります。焦って手当たり次第に行動し、結局失敗して何も学べない……という悪循環に陥ります。

慣れるまでは「学習目標」を立てる

新しいことに挑戦するときは、「結果(数字)」ではなく「学習(スキル)」を目標にしましょう。

  • × 「いきなり成約を5件取る」(結果の目標)
  • ○ 「お客様への提案パターンを3つ試して、反応の違いを記録する」(学習の目標)

まずは「やり方」を覚えることに集中する。そうすれば、結果は後から必ずついてきます。

ステップバイステップで進めるとは、こういうことなのでしょう。

目標の「ダークサイド」に気をつける

最後に、目標設定には副作用(ダークサイド)があることも知っておく必要があります。
目標達成にこだわりすぎると、以下のようなリスクが高まります。

  • 視野が狭くなる: 自分の目標以外が見えなくなり、チームの助け合いを無視する。
  • 変化に対応できなくなる: 状況が変わっているのに、古い目標に固執してしまう。
  • 不正に走る: 数字を作るために、品質をごまかしたりデータを改ざんしたりする。

目標はあくまで「良い方向へ進むためのコンパス」です。
目標自体が目的化して、チームワークや倫理観が犠牲になっていないか、定期的にチェックする冷静さを持ちましょう。

まとめ:目標を「願い事」から「戦略」へ

いかがでしたか? これまでの「常識」とは少し違う視点もあったかもしれません。

  1. 「ベストを尽くす」をやめて、具体的な数字を置く。
  2. 現状への「不満」を成長のエネルギーにする。
  3. 「参加」よりも「理由(Why)」の説明を重視する。
  4. 新しい仕事では、結果より「学習」を優先する。
  5. 目標の副作用に注意し、視野を広く持つ。

明日からの仕事で、まずは一つだけでも意識を変えてみてください。
あなたの目標は単なる「願い事」から、確実に成果を生み出す「戦略」へと変わるはずです。

これらは心理的資本の、特にHope(意志と経路の力/希望)やEfficacy(自信と信頼の力/効力感)などに大きく影響している項目です。ぜひ、心理的資本を開発する方法を体系的に学び、活かしていきましょう!

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に『心理的資本をマネジメントに活かす』(共著)中央経済社,2023年がある。

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