先日、ある研究で目標の難易度が高くても、前向きな心の状態をつくれる能力(=心理的資本)が高ければ「働きがい」「やりがい」につながるということが明らかになりました。いや、これ当たり前の話!と思う人も多いかもしれませんが、調査研究の結果からも実証できたという点が大切なのだと思います!
今回は厳しい目標を設定する前に捉えておきたい考え方について、解説したいと思います。
Contents
高い目標を設定することが善とも限らないワケ
時に「目標は高ければ高い方がいいんだ」ということを良しとするケース、あると思います。
ただ、時と場合による。まさしくその条件が「前向きな心の状態をつくれるチカラ」の有無だということです。
例えば働いている職場の環境によっても異なるかもしませんが、いわゆる「成長企業」で働いている場合は、達成が困難に思える厳しい目標を設定されるケースが多いように思います。
でも、そこで成果が出せずに自信を失う人もいるわけで、そのまま放置されちゃうと「会社辞めよう」となってしまうでしょう。もしくは、いまいち会社の目指す目標に納得がいかず、やらされ感で仕事を進めているなら、これもパフォーマンス低下の原因になります。
これらはすべて「前向きな心の状態をつくれるチカラ」の有無、影響していると思います。
本人だけではなく、会社の目標をメンバーに伝える経営陣やマネージャーが「前向きな心の状態をつくれるチカラ」のことを考慮できているかということも大きく影響するんではなかろうか、そんな風に思います。
ただし、組織のメンバーの「前向きな心の状態をつくれるチカラ」を育み開発することができていて、リーダーたち自身もそのチカラをしっかり持っていれば、間違いなく事業の高成長につなげられるでしょう。
HERO(心理的資本)が高いってどんな状態?をカンタン解説!
どんなに高い目標でも、それに向かうためのいくつもの方法を考えられ、一歩ずつ進めるように小さな目標を決められるなら、着実に前に進めます。これは「希望を持つ力(Hope)」が強いからできることです。
また、難しい目標でも「自分ならできる」と思えると、不安にならず、小さくても確実に行動を起こせます。これは「自信を持つ力(Efficacy)」によるものです。
さらに、困難なことに挑戦するときに「ピンチ」ではなく「チャンス」と考えられると、乗り越える準備ができます。自分が使える力や道具をちゃんとわかっていて、それを活かして問題を解決しようとする状態です。これが「乗り越える力(Resilience)」です。
また、どんな状況でも自分にできることをしっかりやろうとし、うまくいかなくてもその経験を次に活かせる力を持っている人は、現実的で前向きな考え方ができています。これは「前向きに考える力(Opitimism)」と言えるでしょう。
こうした力をうまくコントロールできる状態のことを、「心理的資本が高い」と言います。
どうやってHERO(心理的資本)を高めたらいいの?
この心理的資本、HEROの要素それぞれをどのように開発するのか。様々に方法はありますが、今回は「会社から与えられた厳しい目標」に挑むことを前提にした場合に絞って解説します。
目標達成に対して希望を持つために
まずは「希望を持つ力(Hope)」のところをみてみましょう。
やらされ感でやっている時や、目標が厳し過ぎて達成できるイメージを持つことができていない時は、この力が大きく下がってしまいます。目標に近づくための方法をできるだけ多く洗い出してみます。ここは知識や経験の量によっても思いつく方法に差が出てくるので、上司部下・先輩後輩・同僚などと相談することをお勧めしたいです。
これならできそう、取り入れられそう、という方法が見つかったら、それを自分でやると決めることです。自分で決める、自分で選択することが大切です。(上司の立場なら、部下に言う通りやればいいからと、手段や方法を決めつけていないか注意してみてください。)
目標達成に対して自信を持つために
続いて「自信を持つ力(Efficacy)」を考えてみます。
目標達成のために取り入れられそうな方法を見つけられたら、まずは何よりも行動です。失敗しても大丈夫な範囲で良いので、試してみることです。失敗からも学べますし、うまくいけば良い意味で調子に乗って次のステップに進めば良いのです。まずは小さな一歩からはじめてみることが大切です。
ほかにも、うまくやっている同僚や、自分にとってモデルになる人を参考にするもよし、一緒に目標に向かう仲間と進捗を共有するなどして良い刺激を受けてみましょう。自分にもできそうだと思えるところに注目してみることです。
厳しい状況を乗り越えるために
続いて「乗り越える力(Resilience)」です。
ピンチはチャンスという言葉がありますが、ついつい人はチャンスをピンチと考えてしまう思考の方が強いものです。そこはそういうものだと思っておいて良いです。それよりも、ピンチをチャンスに変えるための思考の術を知っておく方が役に立ちます。
目標達成を阻むリスクに目を向けてみましょう。そこにはどのようなリスクが潜んでいるでしょうか。
お客様の気が変わってしまうリスクでしょうか。社内で連携する部門との意思疎通でしょうか。十分な準備をするための時間が不足してしまうリスクでしょうか。市場動向が影響してしまうこともあるでしょうか。
まずはリスクを現実的な目線で洗い出してみることをおすすめします。
あとはそれぞれのリスクに対して、対策できることは無いか。自分の持つ強みを活かせないか。組織のリソースを活用できないか。不足しているものはないか。客観的に整理していってみましょう。少しずつ打開策が見いだせてきます。
状況を前向きに捉えるために
4つ目「前向きに考える力(Opitimism)」を考えてみましょう。
多くの人は「うまくいかないんじゃないか」というマイナスの期待をしてしまいがち。これもそんなもんだと思っておいてください。なので「きっとうまくいく」と思えるための思考法をおすすめします。
そもそも、うまくいかないんじゃないかといモヤモヤとした不安を感じてしまう時は、自分にはどうようもないコントロールができないことに執着していることがほとんどです。自分にコントロールできることと、コントロールできないことは何なのか、分けて整理しちゃいましょう。書き出してみると分かりやすいです。そうすると自分次第でなんとかなる部分が見えてきます。あとは「自分次第」の部分を、徹底的にやりきるだけです。
やりきったうえで、うまくいかないことも、もちろんあります。その時はまた、自分にできることはまだあったか。どうしようもなかったことは何だったか。再び振り返ってみると良いでしょう。そして、これは大きな目標に向かうための道の途中だくらいに思っちゃえばいいです。
自分で責任を持つところと、そうではないところを明確にしちゃうことで冷静になれます。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
「少年よ大志を抱け」と言われて育ってきました。
「あきらめたらそこで試合終了だよ」という名言に感銘を受けた世代です。
これらはとても良いメッセージですが、じゃあどうしたらいいの!?ということを、思考法・手段として身につけ、スキルとして使えるようになっておくと「厳しい目標であっても、やりがいをもって取り組む」ことができるようになるのです。
厳しい目標でパフォーマンスが最大化するための必要条件に「前向きな心の状態をつくれる能力」があるということを思い出していただければ幸いです。
ハードな目標を掲げ、事業成長を求めるということは、社員にも成長をするためのきつめのストレッチを求めるということに他ならないのではないでしょうか。だからこそ「前向きな心の状態をつくれる能力」をサポートするAIキャリア相談室HEROMe(ヒロミー)の設置をおすすめしたいです。経営・人事・マネジメントに関わる方はぜひチェックしてみてください。